完全に、旧聞に属する話ですが。。。

国際標準化機構(ISO)の品質マネジメントシステム規格(ISO90012015年版)が2015915日に発行(改訂発行)されました。


規格が発行される前のドラフト版(DIS)で「製品・サービスの設計・開発」について、

「組織の製品及びサービスの詳細な要求事項がまだ確立されていない場合、又は以降の製造若しくはサービス提供に十分であることが顧客若しくはその他の利害関係者によって明確にされていない場合には、組織は、設計・開発のプロセスを確立し、実施し、維持しなければならない」

と規定されていた。


最終的な規格(IS)では、国際会議の中で、ごちゃごちゃ規格の条文に記述するのはできるだけ避けよう、という方針があったようで、DISで採用されていた上記の文面は規定されていない。


では、「設計・開発」について、国際規格で規定しているところは、用語が定義されている規格である「ISO90003.4.8(設計・開発)」の

「対象に対する要求事項を、その対象に対するより詳細な要求事項に変換する一連のプロセス」

との記述しかない。


・・・ここで問題になるのが、「手順計画」の取り扱いです。

「手順計画」とは、

JIS Z8141-3303より引用)
「製品を生産するにあたり、その製品の設計情報から、必要作業、工程順序、作業順序、作業条件を決める活動」
です。


つまり、「製品の設計図」から、「原材料」や「部品」の「加工」や製品の「組み立て」の「最適な方法」を決めて、具体的な内容を明確にすることです。

当たり前ですが、「製品の作り方」を明確にしなければ、製品は生産できません。

これは、製造業だけでなく、サービス業も同様です。


「手順計画」は、さらに分解すると「工程設計」と「作業設計」になります。

ざっくりとそれぞれ(工程設計と作業設計)で何を計画するのかといえば、以下のような内容です。


◆工程設計

・生産方式の設定
・個別工程の設定
・工程順序の設定
・内外作区分の設定
・機械、設備の設定
・工程ごとの加工時間と作業時間を設定
・工程ごとの作業内容、品質特性、製造条件の設定



◆作業設計

・工程ごとの作業内容の設定

・作業手順の設計と改善
・作業の急所の明確化
・不適合品処置方法の明確化
・品質確認事項の設定



品質マネジメントシステム規格でポイントとなるのが、

「製品及びサービスの詳細な要求事項がまだ確立されていない場合、又は以降の製造若しくはサービス提供に十分であることが顧客若しくはその他の利害関係者によって明確にされていない場合」

というDIS版での記述です。


この記述からは、明らかに、上記で記述した「作業計画が確立されていない場合」を含みます。

よく、「設計・開発の対象は製品・サービスそのものの話であるから、工程設計は除外である」という議論がされますが、サービス業では、工程設計そのものが「サービス業の製品」であることが多い。

つまり、工程設計を除外するのであれば、サービス業での多くでは、「設計・開発のプロセスは存在しない」という論法が成り立ってしまうが、それは「多くの組織で製品及びサービスの設計・開発は存在する」という論理から外れてしまう。


ここの線引きは、やや難しいですが、「作業計画」は、どんな製品やサービスを提供する場合でも必ず必要になります。

しつこいですが、ポイントは「作業計画が根本的に新たに確立する必要がある製品及びサービス」です。

この場合(要は、作業計画を根本的に新たに確立する必要がある場合)における「作業計画」は、「製品及びサービスの設計・開発として位置づけられる」というのが、個人的な私の考えです。


2015915日以降、各関係機関で頻繁にISO90012015年版)の説明会や講習会が開催されています。

その際に「工程設計は除外」と短絡的にお話を進められる方が多いですが、この説明では、「2015年版に改訂されたからと言って設計・開発の基本的概念は変わりません」という誤った認識が世間にはびこっていくのは必至であると思う。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ472号より)


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