週刊文春などが報じた「高額出張問題や公用車問題」に端を発して、舛添要一都知事が、記者会見でその正当性を懸命に主張している。
批判を浴びてしまうかもしれないが、「舛添都知事バッシング一辺倒」の一連の報道に対して、個人的には、少し違和感がある。
それは、ざっくりいえば、「舛添バッシング」の中身が「感情論に見える」からだ。
例えば、高額出張について、元都知事の石原氏の時と出張回数や1回あたりの出張費用を比較するのは、悪くない。
別荘のある湯河原への移動を、民間タクシーを利用した場合と比較した数字を各メディアは取り上げているが、なんの意味もないと思う。
メディアの報道だと、都庁から、湯河原まで民間のタクシーを利用すると、約8万円かかるという。
金額だけ見れば「すっげー、高額!!」と誰もが思うし、往復なら約16万円、年間48回使用しているなら、1年間に換算すると768万円になり、とんでもない無駄遣いに映る。
「湯河原」「別荘」「タクシー」という単語から想像する一般的なイメージは、
「湯河原」→温泉でまったりする場所
「別荘」→優雅なご身分
「タクシー換算なら片道8万円」→無駄遣い
だと思うので、「舛添バッシング」のメディア報道は、こうした国民感情を煽った感情論的議論に見えてしまうため、なんだか違和感が生じるのだ。
仮に、舛添都知事が主張するように、
「湯河原の別荘では、公務をしていた」
というのであれば、公用車の運転手の立場は、おそらく、専用の公務員(技能労務職)であり、「公用車は移動する知事室」という主張も理解できるので、会話内容の守秘性や安全性、移動コストを考えれば、現状の都のルールに照らし合わせても、違反はないだろう。
ただ、海外出張については、詳細はわからないが、確かに無駄が多いように感じる。
「それなりの格式のあるホテル」「警備上の問題」といった舛添氏の主張も、シロウト感覚だと「東京都知事の立場上、そういうものなのかな」とも感じてはしまうが、空港の貴賓室使用やホテルのスイートルーム使用、飛行機のファーストクラス移動は、仕事のやり方を変えれば、全く必要ないだろう。
訪問した都市の要人と会談をする場合も、先方に出向く、あるいは、個別に会議室を確保すればいいだけの話で、「打ち合わせをするためにスイート利用した」という主張は、ほぼ毎回の海外出張でスイートを利用している現状からして、ちょっと無理がある。
出張費用が、石原都知事時代よりも、相当高額(石原元都知事時代より約1千万円高く、1回あたり約2600万円)なのは、舛添都知事の機嫌を損ねないために、都職員が気を使い、併せて、随行した幹部職員も便乗して規定の出張経費以上のクラスのホテル等を利用したためだと思うから、舛添知事だけの問題でなく、海外出張に対する都の対応事態にも問題があるだろう。
したがって、都知事の出張経費や公用車問題は、現状のルールに照らし合わせて、「いい、悪い」という議論だけでなく、内部監査や住民や識者による外部監査も実施して、あるべき姿を議論していくべきだろう。
それにしても、国民感情を煽るような報道の仕方にも、問題はあるわけで、私たちも、報道と世間の雰囲気に煽られて単純に感情論でこの件について判断してはならないのである。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ487号より)
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