教員免許を持たない女性(55)が約32年間、山形県内の公立高校で授業を担当していたことが、2016年2月にメディアで報道されていました。
個人的に注目していたのは、2点、
◆支払った給与等は返還請求されるのか
◆4校約7700人の教え子たちが取得した保健体育の単位は認められるのか
の2点だった。
その後の報道を注目していましたが、前者の「支払った給与」約1億8千万円については、返還請求しない方針になったという。
その理由として、山形県教育委員会のとしては、
「女性は適法に採用された教員と同じ勤務をこなした」
「労働の対価である給与の返還は請求しにくい」
という判断をしたようである。
もちろん、1984年4月の採用時(82年に大学を卒業し83年の採用試験に合格)にさかのぼり、任用無効としたため、退職手当や共済年金は支払わないということのようである。
細かい話であるが、退職手当や共済年金は、給与から天引きされており、退職金や共済年金として積み立てられた分は、労働対価である給与の一部ではないのかな?と疑問があるが、そのあたりは、双方、騒動が大きくなることを避けたのだろう。
給与の返還請求を決めれば、まず間違いなく、裁判になり、「労働対価相当の支払いはすべき」的司法の判断が出される可能性は高い。
また、採用時や人事異動の教員免許状の確認を教育委員会や学校側は怠ったという「不備」も裁判で突かれる結果となるわけで、それを避けたといっていいだろう。
2点目に気になっていた「教え子約7700人の保健体育の単位は認定されるか?」であるが、これは、メディアの報道では話題になっていない。
以前、教員免許はあるが、担当科目の免許がない教師が授業を受け持っていた単位について、春休みに補講を実施したケースがあったと記憶しているが、今回の場合は、その辺は、不問にしたようである。
それにしても、免許や国家資格取得見込で採用試験を受けることは、教員に限らず、医師や看護師、薬剤師などたくさんある。
看護師の場合、看護見習いとして就職し、国家試験合格後に正規採用されるというケースも聞くが、基本的に、免許や資格が必要な職業は、採用時に免許を確認するのは常識であろう。
仮に、偽造された免許を提出していたのであれば、悪質であるが、今回の場合は、山形県教育委員会も採用時に学校が確認する仕組みを作っていなかったわけで、不備があったといわざるを得ない。
また、この教員もどきの女性であるが、保健体育の教職課程をきちんと修了しるのだから、あらためて卒業大学があった県に申請すれば、免許は取得できたはずである。
この事件は、女性が問題であることには間違いないが、学校や教育委員会にも問題があったと思う。
【好評発売中!】
『ちょロジ ニュースで学ぶ7つの思考法』(パブラボ刊)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4434176552/bloglogcom-22/ref=nosim/
【よかったらメルマガ読者登録お願いします♪】↓
(パソコンでアクセスしている方)