2016年3月3日付の朝日新聞(電子版)が、
(以下引用)
「千葉県銚子市の水産加工会社「信田(しだ)缶詰」が、2014年に製造した輸出用のサバの油漬け缶詰約300万缶に、サンマを混ぜて出荷していたことがわかった。中身の半分以上がサンマという缶詰でも、原料にサンマと表示せずに出荷していた」
と報じていました。
このニュースは、多くのテレビや新聞が取り上げていたが、日本の法規制で考えると、不正競争防止法や景品表示法、食品表示法違反などに該当するのでしょう。
報道からの情報を聞く限り、期限切れの材料を使用したといった衛生上の問題はないので、食品安全上の健康被害は、もちろん発生しないだろう。
しかし、「信用」という点で、ジャパンブランドを毀損する出来事のひとつになったことは間違いない。
このニュースについて、個人的には、2つの関心がある。
それは、
1)原材料の偽装が内部調査で発覚したこと
2)フジテレビ系で放送されたドラマで話題になったサバカレーの製造会社であること
である。
前者については、この「信田缶詰」は、2009年に民事再生法を申請している。
そして、2015年に長野市の食品卸会社の子会社になって現在も営業を継続している会社である。
ここからは予想であるが、おそらく、信田缶詰が、食品卸売会社の子会社にならなければ、「サバ缶の原料にサンマが使用されていたこと」は、永遠に世間に知らされることはなかったのではないだろうか。
少し話はそれますが、会社を買収するときには、メリットもあれば、さまざまなリスクも生じます。
そのひとつに「簿外債務」があります。
簿外債務とは、貸借対照表上に記載されていない債務のことで、例えば、デリバティブに関わる偶発債務や会計操作による飛ばし行為などがあります。
今回の「原料偽装」も、会社を買収するときに、公開され確認できる一般的な資料からは、わからないことであったでしょうから、ある意味「簿外債務」のようなものだといえるでしょう。
親会社の内部調査(内部監査)で見つかった今回の偽装は、会社買収前に見つけていれば、さらに「さすが!!」ですが、通常の社内調査で見つけたものだと思われるので、「内部監査が有効に機能している」と言えるでしょう。
長野市の食品卸売会社が株式を上場していれば、投資家サイドの評価は下がるのが一般的ですが、私なら「社内不祥事を内部で検出でき、自浄作用が働く会社」として評価したいと思います。
関心がある点の後者ですが、この信田缶詰では「サバカレー」の缶詰も製造しているという。
「サバカレー」でピンと来る方は、アラフォー世代だと思われますが、フジテレビが1996年に放送したテレビドラマ「コーチ」(キャストは浅野温子さん、玉置浩二さんなど)の中でサバカレーが会社再建の商品となった製品で、テレビ放送後に、「サバカレーブーム」となったのだ。
ちなみに、私は、テレビ放送される遥か昔から、カレーの具にサバ缶を使用していたから、ブームになった時は、「何をいまさら」感があったのが懐かしい。
それにしても、偽装の根本原因は何なんだろう、と思う。
サバとサンマの卸売価格は、一般的には大きく大差はない。
2009年のデータでは、1キロ当たりサバは73円、サンマは67円とサンマが安いが、漁獲量によってはサンマが高くなる年もあり、偽装は「利益追求」だけが原因ではなく、例えば、「缶詰にして混ぜてしまえば、消費者はわからないだろう」というモラルや偽装を「おかしいことである」と感じなくなっていた感性に原因がある気がする。
親会社は、真の原因を追究して、信田缶詰の経営改善を図ってほしいと思う。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ479号より)
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