2016年3月1日に、13日開催の名古屋ウィメンズマラソンにエントリーしていた福士加代子選手(ワコール)が、欠場を発表した。
ご存知のように、福士選手は、1月31日に開催された大阪国際女子マラソンで、陸連が設定したタイムを上回る2時間22分17秒(日本歴代7位)で優勝しており、リオデジャネイロ五輪女子マラソンの残り2枠の有力な候補者となった。
しかし、ワコールの永山監督は、「(名古屋の結果次第では)落選の可能性が残る」として、ウィメンズマラソンへの出場を表明していた。
メディアの報道によると、永山監督は、「総合的に判断して出場を取りやめることにした」と説明しているという。
ここからは、私の予想であるが、永山監督は、
◇大阪で、好タイムで優勝したが名古屋を走ると表明して陸連の選考方法に一石を投じた
◇名古屋を走る表明により、陸連幹部から、「走らないでほしい」という言質を取りたかった
◇名古屋エントリーメンバーとペースメーカーの設定タイムを見て、福士選手のタイムを上回ることはないと判断した
といった考えで、「よし、99%は大丈夫」と判断したのだろう。
結果から捉えれば、「福士選手の名古屋強行出場」というインパクトは、「永山監督が福士選手を何としてでもリオ五輪に出場させるための戦術だった」と言えるだろう。
五輪前年に開催される世界陸上での「メダルあるいは入賞&日本人最上位者に内定を出す」代表選考のシステムが確立して以来、代表選考レースが、スポンサー獲得など諸事情を考慮して、複数存在する以上、「レース後即内定」がもらえるのは、世界陸上しかない。
したがって、世界陸上以外の3レースで好記録を出した選手は、どんなにいい記録であっても「果報は寝て待て」状態なので、永山監督が今回とったような「戦術」は、今後も出てくるだろうし、「あり」だし、「仕方がない」とも思う。
そもそも論でいえば、オリンピックの代表選考レースは、「夏に開催するマラソン」で選考するべきであると私は思う。
なぜならば、いわずもがなであるが、オリンピックのマラソンは、「夏」に開催される。
マラソン(ランニング)を趣味を含めて、1年中、走ったことがある人なら、すぐにわかることであるが、「夏場」と「冬場」に走るフルマラソンは、「別競技」と言ってもよい。
トップアスリートと市民ランナーを比較するのは変であるが、市民ランナーの多くは、秋から春にかけてのフルマラソンを4時間前後で走るが、夏に開催されるフルマラソンであれば、20分から30分は遅くなる。
トップランナーもこれは同様で、個人差はあるが、冬場に出したベストタイムより5分程度は誰でも遅くなる。
そして、さらに問題なのは、「夏場はどんなランナーでも遅くなるが、その落差(要は暑さ適性)はランナーによって違う」ということである。
したがって、
「冬場の選考レースのタイムは夏に開催される五輪で活躍が期待できる選手を選考するためには参考程度にしかならない」
ということである。
冬場のレースで代表を選ぶのは、他のスポーツで例えれば、スキーのジャンプの代表を、サマージャンプ大会の結果で決めるようなものであり、本番を占う選考となっていないのだ。
だから、五輪代表選考の理想は、
「世界陸上で1枠、残り2枠は夏に開催するレース(例えば北海道マラソン)で選出する」
が最も五輪で活躍できる選手を選ぶことができる、と思う。
しかし、五輪の1年前に選手を3人とも決めてしまうと、若手選手の「伸びしろ」を無視してしまう。(マラソン開催年にぐーんと伸びる選手を選出できない)
したがって、現在の、「世界陸上で1枠、残りの2枠は3つの選考レースから総合判断(夏場に活躍できそうな)して決める」は、マスメディアや世間は「基準があいまい」というが、最終的には、選ぶ側の恣意的な判断が加わる要素が残る基準で仕方がないと思う。
いずれにせよ、男子も女子もあと選考レースは各1レース。
五輪が期待できる好タイムが出ることを期待したい。
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