2016211日付のFNNニュースで、入居直前に起きたマンションの「契約解除騒動」について以下のように報じていました。


(以下、ニュースを引用抜粋)

『東京都心の「億ション」で、入居直前で起きた、突然の契約解除騒動。
不安に揺れる購入者に「おわび」として支払われるお金に、税金がかかってしまうという事態が起きています。
番組が取材を続けている男性は、東京・文京区小石川の地上8階建て億ション「ル・サンクル小石川後楽園」に、2月入居するはずだった。
しかし、201511月、ほぼ完成していたにもかかわらず、東京都建築審査会から建築確認を取り消され、工事は中断。
この異例の事態を受け、購入者全員に、売り主から契約解除が言い渡された。
購入者A氏は「3月以降に住むところがないと。(お住まいのマンション売っちゃった?)売っちゃいました。住むところがないっていう恐怖感は...」と話した。
突然、住む場所を失った男性。
住んでいた家をすでに売ってしまったという男性・購入者A氏は「嫁さんは、結構半狂乱でしたね。どこに住んだらいいんだって。どうなっちゃうんだ。わたしたちは、何悪いことしたんだって」と話した。

・・・・・

あのマンションに住みたいと願う購入者たち。
しかし、「購入者の皆さま宛てに、あす21日月曜日に、契約解除通知書類を発送させていただきます」という、売り主からの一方的な解除通告に、購入者の怒りが爆発した。
購入者は「僕らに判断、組合を作って対応する余裕も与えないで、あす書類を出して、228日までに返信してくれ、なんでそんな期限つけるんですか。こんな詐欺みたいな話、わたし、見たことないよ、今まで。社長がなんで来ないんですか?」と問いただした。
売り主は「執行役員が、皆さまにご説明しておりますので。会社の議決事項を、今、皆さんにご説明している次第で」と話した。
購入者は「執行役員は、取締役じゃないだろ! なんで議決事項を、議決権のある人間がしゃべらないんだ!」と話した。
そして、購入者の怒りは、理不尽にも思える税制上の「死角」に向けられた。
売り主は「解決金は全額、一時所得となり、非課税とはなりません」と説明した。
解決金には税金がかかる。
今回、売り主側は購入者に対し、販売金額の2割にあたる額を、解決金として支払うことになっていた。
しかし、このお金には税金がかかり、手元に残るのは、課税された分が減少したものになってしまうという。』

(引用抜粋ここまで)


引用箇所が長文で恐縮ですが、ようは、ざっくりいえば、

◇建築確認を取り消され工事は中断した

◇マンション買主たちに契約解除通知書が送られた

◇解決金は購入金額の2

◇解決金は一時所得としてには税金がかかる

◇慰謝料名目であれば、税金はかからない

という話である。


正直、このニュースを見た時に、手続き上は、売主側に誤りはない話である、と思った。

通常のマンション契約の場合、売主側の都合で、契約が解除される場合、違約金が支払われる。

一般的には、手付金の倍返しになるらしい。


おそらく、売主側が提示した「解決金」は、違約金に相当するものと思うが、税法上は、当然、税金がかかる。

つまり、報道されているように「死角」でもなんでもなく当たり前の話だ。


したがって、売主側の契約解除に対する措置に法的な誤りはない。

ただ、この話、売主側は、買主側の気持ちを汲み取って、もっと適切なコミュニケーションの仕方があったと思う。


税務の知識がシロウトなので、以下の案は、間違いがあるかもしれないが、要は、「解決金」の中身をもっと、配慮すべきだったと思う。

例えば、

「解決金」=「手付金」(非課税)+違約金(課税)+慰謝料(非課税)

「解決金」=「手付金」(非課税)+慰謝料(非課税)

というような配慮である。


買主からすれば、契約解除という、精神的ダメージおよび経済的な損失を受けた(自己責任部分もあるが)と認識しており、それに対する「解決金に税金がかかるなんて酷い」と考えることは必至だ。

したがって、できるだけ、税金がかからないような対応策を提示するべきだったと思うのだ。


これで、裁判にもなれば、売主側も、買主側も余計な法廷闘争費用がかかり、お互いに対して全くメリットがないばかりが、時間とお金の無駄で、精神的な影響も加えれば、双方にでメリットしか生じない。


個人的に気になるのは、FNNの報道姿勢である。

FNNの報道では、視聴者に対して、

「日本の税制は酷いでしょ」

「住むところが無くなって人もいて、かわいそうでしょ」

「買主に対する説明会に社長が出てこないのは酷い会社でしょ」

といった点を結果的に強調した報道になっていると思う。


本質は、

「売主側が契約解除するにあたって買主の立場と気持ちをおもんばかり、もっと適切な措置と説明会を計画・実施すればよかった」

だけの話だ。


報道された事例の「億ション購入者が住んでいたマンションを売り払い中古のマンションを買った」話も、「新築マンションは、建築確認許可がおりなければ住むことができなくなる可能性がある」リスクを考えて、今、住んでいるマンションの売却時期を設定すべき自己責任の範疇である。


ニュースの役割のひとつは、各種多様な報道を目にして、自分なりにニュースを咀嚼して、自分の生活の中での「学びとすること」である。

その点において、この件は、

◇入居予定マンションが契約解除される可能性があること

◇契約解除された場合に支払われる解決金は、慰謝料名目でなければ、税金がかかること

を主体に報じればよかった。

その他の悲劇は、主体内容に付属した話なのだから。


それにしても、億ションがポンと買える人は、世の中にはゴマンといるようで羨ましい。

固定資産税もきっと半端じゃない金額になるのでしょうね。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ476号より)



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