2016年1月15日に発生した、14人が死亡した長野県軽井沢町のスキーツアーバス転落事故。
事故後の調査で、運転手の定期的な健康診断を受けさせていない、出発前点検を実施していなかった、予定ルートを変更して運行しているが連絡がなかったなど数々の道路運送法違反容疑が明らかになっている。
また、2016年1月16日付の毎日新聞では、
「バス運行会社の「イーエスピー」(東京都羽村市)が、ツアーを企画した旅行会社「キースツアー」(東京都渋谷区)から、道路運送法が定める貸し切りバスの基準運賃を下回る19万円でバス運行を受注していたことが、国土交通省の特別監査で分かった。」
と報じていました。
記事によると、
◇ツアー区間は東京から長野県・斑尾高原で往復約680キロ
◇国の基準運賃は27万円が下限
◇基準に反する運賃は道路運送法違反で、イ社は行政処分の対象になる
◇発注したキ社も旅行業法に抵触し、18日間の営業停止処分となる可能性がある
◇バスを手配した「トラベルスタンドジャパン」(東京都千代田区)によると「キ社から運賃提案があった。最初から基準を下回っていた」と説明
◇「キ社から『今冬は雪が少なく客も少ない。当面は低い値段でやってほしい』という要望があった」と明かした
という。
記事からすると、バスツアーを企画したキースツアーは、2012年の関越道バスツアー事故後に貸し切りバスの運賃基準が引き上げられているが、それを無視したツアー企画をすると、旅行業法違反に相当することを、本当に熟知していたのだろうか?と思ってしまう。
また、バス運行のイーエスピーも基準運賃を下回った受注となることを認識していたのだろうか。
道路運送法でも、旅行業法でも、違反すれば、業務に相当打撃を受ける行政処分を下さられるわけで、信じられない話であるが、運賃基準をとても認識していたとは思えない。
ただ、これまでの話と少しずれるが、この事故について、運転手2名が亡くなってしまっているので、どうしても、バスツアー企画会社とバス運行会社が守るべき法令を守っていなかった、という議論になってしまうのは、仕方がないが、「事故そのものの真相解明」が闇の中になってしまいそうな雲行きだと思う。
例えば、
◇どうして運転手はルート変更したのか
◇転落前に車体が大きく揺れたのはなぜか
◇休憩後に運転手が変わらなかったのはなぜか
といった点は、お二人が亡くなっている以上、究明されない気がする。
事故そのもの以外の部分については、ツアー企画会社とバス運行会社の体制に問題があったことは間違いないわけで、処分が必要である。
また、業界をとりまく環境についても、最低運賃が守られていない現状について、国は、業者への周知が不十分なのか、国の監査など法令管理体制に問題がなかったかの検証は、今後、同様の事故発生を予防する上でも大いに必要だ。
ただ、事故そのものは、運転手の運転ミスによって引き起こされているわけで、運転ミスを制御するシステムは、もっと考えるべきではないかと思う。
はっきり言えば、私は、事故原因は、「単なる居眠り運転」ではないかと思っている。
「居眠り」に関しては、病気でもない限り、健康診断をちゃんと受診し健康状態が担保されていても、発生する話だ。
今回のような「2人体制の場合」、バックアップ要員の運転手は、仮眠をとるケースが多いが、今回は、運行距離的には、法令的にも2人態勢である必要はない。
したがって、運転していない要員は、運転手席の脇で、運転手の状態をチェックして、いざというときにハンドル操作を奪い取るなど、緊急時に備える体制をとるべきだったと思う。
事故の遠因に、非常に安い受注金額、運行管理体制など組織のマネジメント上の不備は当然あるが、いくら整備しても、「運転手が居眠り運転」や「心臓発作」などにより運転ミスをしたら終わりである。
運転ミスを機械的に制御するシステム、あるいは、バックアップ要員が緊急事態に備える体制を確立しなければ、このようなバス事故は防げないと思う。
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