2015年12月30日付のNHKのニュースで、
(以下、ニュースより引用)
「愛知県内の社会保険労務士が「社員をうつ病にして会社から追放する方法」とする文章をブログに掲載し信頼を失墜させたとして、愛知県社会保険労務士会は会員としての権利を3年間停止するなどの処分をしました。」
との報道がありました。
報道によると、
◆社会保険労務士の男性が11月の自身のブログに「社員をうつ病にして会社から追放する方法」として、「降格や減給で経済的にダメージを与えます。適切な理由をでっち上げましょう」などの文章を掲載した
◆このブログの内容に対しネット上で批判が相次ぎ、関係機関が非難する声明を出していた
◆これらの声を受けて愛知県社会保険労務士会は、信頼を失墜させたとしてこの社会保険労務士に対し会の事業に参加したり役職に就いたりする権利を3年間停止するとともに退会を勧告する処分をした
◆この社会保険労務士は「世間をお騒がせしたのは申し訳ないと思っています。一部、筆が滑って過剰な表現はありましたがブログに書いた趣旨は間違っていないと思います」などと話している
◆愛知県社会保険労務士会は「1月に、すべての会員を対象にした倫理研修を実施して指導を徹底したい」と話している
という。
一般に、社会保険労務士さんの業務内容は、あまり知られていない。
一般的なお仕事は、ざっくりと事例を挙げると、
◇社会保険の手続き
◇労働保険の手続き
◇就業規則の作成
◇給与計算代行業務
◇助成金の申請
◇労務管理関係のコンサルティング
などを業務内容としているケースが多い。
私も知人の社会保険労務士さんとタイアップして仕事をした経験が何度かあるが、助成金を利用した社員教育やマイナンバー制度に関連して情報管理のセミナーなどを実施したことがあるが、意欲的な社労士さんだと、専門業務以外にも関連する業務の知識を勉強されて企業研修などをされているケースもよく聞く。
ざっくりしたイメージとしては、「社会保険や労働保険を中心とした中小零細企業のよろず相談窓口」というイメージで捉えて間違いはないと思う。
「よろず相談窓口」だから、企業との信頼関係が深ければ、守備範囲以外の相談も企業から持ち込まれ、より詳しい専門家を紹介するハブ的な役割を担っている社労士さんも結構いる。
したがって、冒頭の問題の社労士さんも、顧問先の企業が抱える問題として、「辞めさせたいけどやめさせられない社員対策」といった相談を数多く受けていたのかもしれない。
私も経営コンサルタントのはしくれなので、労働問題は専門外であるが、そのような悩みは、企業担当者からお聞きするケースはある。
一方の話しか聞いていないが、実際、辞めてもらいたい「困ったちゃん社員」は案外いる。
しかし、誤解が生じると本意ではないが、現状、正社員として雇用すると、よっぽどの事情が無い限り退職させることは難しい現実もある。
そんな状況下を数多く見てきている社会保険労務士であれば、合法的に辞めさせる術(すべ)も知識として持っているだろう。
しかし、それは、あくまでも「裏」で伝授する話で、ブログやホームページ、講演会、書物など「表」でする話ではない。
また、「労働者を守る」という職業倫理に照らし合わせれば、優等生発言になってしまうが、対価を払ってくれる企業経営者と対峙することになっても、「裏技」を伝授するのは倫理違反であろう。
「顧客満足」という点で捉えれば、一義的には、対価を支払ってくれるのは企業経営者ではある。しかし、社労士さんが果たすべき役割は、労働者の労働環境を守ることである。
個人的には「社会保険労務士さんのモラルに期待」したいが、ただ、「お金を払ってくれるのは企業経営者」という現実があるわけで、愛知県社会保険労務士会が実施する「倫理教育」は、どの程度効果があるのだろう?とも思う。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ470号より)
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