20151212日付のSankeiBizによると、

「在日米軍の軍用機が飛び交う米軍横田基地に隣接するIHIの瑞穂工場には、世界19カ国から民間機や軍用機の航空機のエンジンが毎日のように持ち込まれる。「マイスター」と呼ばれる特殊作業を専門とする職人によって修理を受けるためだ。海外の航空会社が総合病院になぞらえ「Mizuho Hospital」と呼ぶ同工場は、世界の航空産業を下支えするとともに、IHIの業績を牽引する屋台骨となっている」

(以上、記事から引用)

と報じていました。



記事によると、

◇瑞穂工場にはIHIが開発に関わった民間機から取り外されたエンジンが輸送されてくる

◇その数は年間約150台に達する

◇エンジンは、約2万点に及ぶ部品を平均で3日、早くて1日半で分解していく

◇作業工程は、各部品の洗浄や製品を傷つけずに内部を調べる非破壊検査、目視検査、修理作業

◇修理は部品交換や塗装、金属を溶かして皮膜する「溶射作業」が中心

◇再び2万点の部品を組み立て直し、試運転試験をして、航空会社に送り返すまで平均60~70日かかる

という。


IHIのメンテナンスの強みは、

「外部委託せず、自社で修理できるのが当社の強み」

だという。

やはり、部品の内製化と自社修理は、納期短縮に多大な影響が出る。

記事を読むまで知らなかったが、現在、IHIの営業利益の6割は、航空宇宙部門で、メンテナンス部門の利益貢献度は高いという。


また、航空機エンジン事業とは、エンジン開発や部品提供で儲けを出すのではなく、メンテナンスサービスを含めて投資回収するビジネスなのだ。

したがって投資回収に1520年かかり、現在、投資回収の時期に入っている機体は、欧州エアバスの「A320」や米ボーイングの「777」、カナダのボンバルディアの「CRJ」だという。


大手航空会社は、自社でメンテナンスできる部署を保有するが、LCCがエンジンのメンテナンスは、外注するしかないので、IHIのメンテナンス部門は、これからも順風満帆であろう。


ポイントは、「コア技術となっているマイスターをどのように継続的かつ安定的に生み出していくか」でしょう。

現在いる13人の構成がわかりませんが、男性女性、年齢構成も技術継承の重要な要素です。

品質マネジメントシステム規格でも「固有技術をどのように管理するか」が規格化されていますが、ノウハウの継承システムが他社を凌駕するようなレベルで確立していないと、強みは現時点の話であって、継続できないでしょう。


また、終身雇用でない時代ですから、給与など待遇面でのリスクも見ておかないと「メンテナンス部門は安泰」とは言い切れないでしょう。

こうした「職人技」の部署は、一般製造業では、どんどん子会社化や外注化していくのが常ですが、収益構造の大きな柱と捉えるならば、本体(本社)の部署として、きちんと管理していくことが必要なんでしょうね。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ468号より)



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