2015年12月10日付の朝日新聞デジタルによると、

(以下、記事から引用)

「金融庁が、不正があった東芝の会計を監査していた新日本監査法人に対し、課徴金と業務改善命令の行政処分を同時に行う方向で検討していることが9日、わかった。監査法人への課徴金処分は初めて。証券取引等監視委員会が東芝について過去最高額の課徴金勧告を出しており、不正を見逃した新日本の責任も重いとみている」

(引用、ここまで)

と報じていました。


記事を読んで、東芝を担当した監査法人である新日本監査法人への

◇立ち入り検査

◇課徴金

◇6ヶ月前後の新規契約の禁止

は当然だと思った。


ご存知のように、2008年の公認会計士法改正で、監査法人への課徴金処分が盛り込まれた。

「この決算内容は法律に則っており適正です」

と世間になり替わって評価する仕事が監査法人の役目であり、意図的な不正の見逃しは難しいとしても、今回の東芝のように、「必要な注意をしっかり払えば、不正は見抜けた」ような見逃しは、ペナルティがあって当然だと思うのです。


「決算内容が適正である」ということを前提に、取引先は、経理的なコンプライアンスもしっかりしており信頼して取引をし、投資家は、安心して将来を託して投資できるわけだ。

しかし、その信頼や安心のもとになる会計監査が結果として「いいかげんだった」ということならば、監査法人には、課徴金というペナルティを課して、猛省していただき、再発防止を促進してもらう必要がある。


個人的に、記事を読んで驚いたのが、監査法人に支払う金額です。

記事では、

「課徴金は、東芝から受け取った監査報酬2年分にあたる約20億円を軸に検討している」

と報じられており、東芝規模になると、監査法人に支払う金額が年間で10億円にもなるというのは、びっくりである。


これは、持論ですが、監査法人は、その組織の会計処理が適切か否かをジャッジする役割を担うのに、「ジャッジを決めるのはジャッジされる組織経営陣」という矛盾がある。

つまり、ジャッジ側の最大の脅威は、「他の監査法人に切り替えられて莫大な報酬を失うこと」である。

したがって、グレーな会計処理は、改善を促しつつも、完全にクロでなければ、適正であるという判断をして、契約延長を得ることになる。


したがって、私は「監査法人の決定」は「株主総会できめるべき」と考えています。

経営陣に選ばせれば、経営上、都合の悪いことは契約を継続したい監査法人に見逃されるリスクがあると思うのです。

本当は、監査法人自体の決定は、「ジャッジされる組織ではない第三者が決めるべきもの」と思いますが、それは現実的に難しいので、せめて「組織の経営陣ではなく株主が選ぶべき」と思うのです。

そうでもしなければ、課徴金を監査法人に化したところで、グレーな会計処理の見逃し、はなくならないと思う。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ467号より)



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