2015年11月26日付の毎日新聞によれば、
「JR北海道が国に申請している来年3月開業の北海道新幹線の特急料金について、国土交通省運輸審議会の公聴会が26日に函館市内で開かれた。公述人3人は事前公開された公述書に沿って、料金が高すぎると反対を表明。一方、JR北は青函トンネル維持費など他の新幹線にはない「固有のコスト」が年間34億円かかることや1日最低約5000人との利用予測を初めて明らかにし、理解を求めた」
(上記は、記事より引用)
というニュースが報じられていました。
2015年度末である2016年3月下旬に迫った北海道新幹線開業。
新青森から新函館北斗まで延伸されることは、鉄道ファンとしては、青函トンネルが開通した27年前同様のわくわく感がありますが、感覚的には、事前にJR北海道から公表された料金設定は「高いなぁ」と思いました。
JR北海道は、料金算出で、東海道や東北といった他の新幹線より、距離当たりの料金が高くなっている(約1.5倍)理由を、
◇固有のコストが掛かっている
(青函トンネルの維持費21億円や貨物列車との共用費7億円など)
◇比較的短い営業区間で多くの車両を維持するため
(約6億円がかかる)
◇JR北海道全体で安全対策に51億円を掛けている
といったことを挙げたそうだ。
旧国鉄は、現在は、北海道、東日本、東海、西日本、四国、九州、貨物と7社に分割されてしまったので、多少の国の補助はあるものの、原則的には、独立採算制を取っている。
しかたがって、JR北海道が、自社で負担するコストを計算して、営業的にペイできる料金を計画すると、現在、公開されている料金になってしまうのも、JR北海道の視点に立つとやむを得ないのかもしれない。
しかし、「国鉄民営化論争」があった時代に、危惧されていたのは、まさに、この問題である。
経営の効率化のもとに、国鉄は民営化され、分割された。
けれども、鉄道インフラは「ユニバーサルサービスであるべき公共財」と考える人たちは、国鉄民営化の議論の際に、
◇民営化されたら北海道から九州まで津々浦々の鉄道網が分断される
◇地理的条件による金銭的な公平性が失われる
という意見から「民営化反対」の意見が多かったように思う。
もちろん、当時の国鉄は、ユニバーサルサービスを、政治力などを含め無秩序に整備していってしまったために、経営の効率化が阻害され、採算度外視の路線計画や設備投資といった「無駄」が増えていったことは否めない。
したがって、今となって「国鉄の民営化は失敗だった」とは、基本的には思わないだろう。
けれども、他のJRグループの新幹線より「1.5倍も高い」というのは、利用者の理解は得られないだろう。
ただ、JR北海道だけにこの問題解決を負わせるのは酷である。
この論法で行くと、全国津々浦々に整備されている郵便、ゆう貯サービスも、「上場企業として株主さま第一」の考え方から、そのうち、採算性を考慮して切るのもやむを得ない、という発想につながる。
なんだか、暮らしにくい日本にどんどんなっている気がする。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ465号より)
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