2015年10月14日に、東洋ゴム工業は、
「電車や船舶などに使われる防振ゴム製品で、性能データを改ざんするなどの不正があった」
と発表した。
各メディアの報道によると、
「これまでに18社に納入した計8万7804個で不正を確認した」
というから、その交換や賠償に伴う費用は莫大なものとなるだろう。
ちなみに、多くの人が覚えていると思うが、東洋ゴム工業のここ10年間を振り返ると、世間を騒がせた不祥事は3回目である。
1回目は、2007年の「防火用断熱パネルの性能偽装」である。
この時は、当時の社長が辞任した。
2回目は、記憶に新しい2015年3月の「免震ゴムのデーター偽装」です。
この時も代表取締役をはじめ、生え抜きの取締役5人全員が辞任して責任を取りました。
そして、今回の3回目です。
下の根も乾かぬうちの「3回目の不祥事」となると、あれだけの大企業ですが、「倒産」の可能性も出てくるのではないでしょうか。
ただ、感覚的には、私は、株式市場には、明るくありませんが、東洋ゴム工業の製品は、自動車タイヤを除けば、一般消費者向けの製品よりも、建材や鉄道車両、船舶などメーカー向け取引が多い感じがするので、一気に「消費者不買運動」や「個人投資家の株式放出」という動きはない気がしますが、それでも、信用の著しい低下は避けられず、経営基盤を大きく揺るがすことは間違いないでしょう。
私たちにとっては「自動車タイヤ」が一番関心あります。
そして、これから「冬タイヤへの交換時期」となるので、スタッドレスタイヤのCMがバンバン流れる時期になり、「雪道や凍った道でもこれだけ性能がいい」と宣伝されても、「どーせデータは改ざんしたんでしょ」という見方をしてしまいます。
今回、3回目の不祥事が発覚した東洋ゴム工業ですが、興味深いのは、その発覚の経緯です。
東洋ゴム工業が2回目の不祥事である免震ゴムの性能偽装に対する再発防止の取り組みを発表したのが8月10日。
その10日後(8月20日)に社内でコンプライアンス研修会が開催され、その研修会に参加した社員からの内部通報で不祥事が発覚したというのだ。
そして、8月10日再発防止の取り組みを発表した時点で、社内の内部監査が実施済となっており、「他部署での同様の偽装はない」と評価されていたというのだ。
つまり、
◇コンプライアンス研修の成果により内部通報者が現れた
◇社内監査では他部署の偽装が見抜けなかった
という点が興味深いのである。
前者に関しては、私はコンサルタントとして「講師の先生にアッパレ」である。
研修により、良心の呵責を感じた社員がいたわけである。
後者に関しては、社内監査では「最終製品の検査データを中心に見ており原料段階での検査データを見ていない」ということが「監査で問題が見つからなかった理由」として東洋ゴム工業は発表しているが、社内監査の方法論の改善をしなければ「時間だけ掛けて成果の薄い社内監査」ということになってしまう。
いずれにせよ、2度目の不祥事で「ご迷惑をかけました」「重く受け止めています」「二度とこのようなことが過ちが起こらないように徹底します」といった反省弁を東洋ゴム工業の責任者たちは述べてきたわけですが、信用回復と経営基盤(財務環境だけでなく組織マネジメントも)の立て直しには、相当な時間がかかるということだけは言えるに違いないでしょう。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ459号より)
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