20159月に品質マネジメントシステムの国際規格が改訂された。

この改訂によるマネジメントシステム構築や認証審査における「変化点」はいろいろあるが、「適用範囲」の考え方も比較的大きな変化のひとつかもしれない。


その理由は、やはり、今回の規格の改訂における大きなポイントである、

◆事業とマネジメントシステムの統合

◆リスクおよび機会を考慮したマネジメントプロセスの計画

という点が大きい。


上記をきちんと考慮することになると、少し乱暴ではあるが、いままでは

◇製品やサービスに直接影響を与える部署が対象となる

というマネジメントシステム構築段階において、なんとなくの雰囲気があった。


具体的には、マネジメントシステムを構築する組織側も認証審査を実施する審査側にも、そこそこ大きい会社で「経理や広報、総務(福利厚生担当部署)、特許管理部門」といった部門は、マネジメントシステムの適用部署にいれなくても、まっ、いっかという感じが双方にあったのだ。


しかし、上記に挙げたように「事業との統合」「リスク及び機会を考慮」となると、今まで自然と度外視していた部署も「管理をきちんと考慮すべき利害関係者」の特定の仕方によっては、無視できない。

例えば、企業情報(IR情報)や製品特性などについて、誤って広報活動してしまえば、利害関係者とのコミュニケーションのプロセスの見直しが必要になるわけで、そうなると「広報部門や経理部門」も対象部署になる可能性が高い(むしろはずせないだろう)。


また、組織内の労務環境が優秀な人材を確保し、質の高い人材育成に大きな影響がある、ということであれば、当然、福利厚生部署も対象になる可能性がある。

固有技術の組織としての管理が事業上の重要なプロセスであれば、知財管理部署も対象となる。


このように、適用範囲を決定する上で、組織の内部・外部の課題を明確にし、管理が必要となる利害関係者を特定すれば、それに対応して対象となる適用範囲の見直しも当然、必要になる。

このあたりについて、組織自らが、早めに気がつけば、規格改訂後の新規審査や移行審査において組織は戸惑うことがない。

ただ、認証機関の審査段階で、適用範囲の見直しが必要と判断されると、組織規模や組織内部の意思決定スピードにもよりますが、一般的には「多大な時間を要する適用範囲の見直し」となることは必然である。


適用範囲に含めるべきか、含めなくても良いのか、といった点については、「規格改訂に伴う大きな変化点のひとつ」として組織全体で認識し、対応を取らなければ(結果的に適用範囲の変更は必要ないという場合のそのロジックの理解を含めて)スムーズな移行審査は実施できないし、認証組織に期待される顧客や市場のさらなる信頼性も担保できないのである。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ451号より)



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