航空会社のスカイマークを約17年間支えてきた井手隆司会長が2015929日で退任するという。

2015924日付の週間東洋経済によれば、退任にあたって、井手会長は、

「スカイマークの独立性と雇用の維持という“ストライクゾーン”はきっちり守れた。今は率直に、すがすがしい気持ちだ」

「日本の航空会社で私ほど長く経営に携わっていた人は、ほかにいないだろう」

と語ったという。


個人的には、「規制緩和によるメリット」とは、市場開放により市場経済の活性化、ユーザーの利便性向上だと思う。

その点で、スカイマークは、「志が高い」と私は評価しています。

井手会長がスカイマークの創業者であるエイチ・アイ・エスの澤田秀雄氏から誘われて経営に参画した時からの想いは「独立性確保」だったという。


スカイマークの後に立ち上がった新規航空会社の多くは、結果的に大手の傘下となり、悪く言えば大手のご都合の中で運営がなされている。

そういった意味で、経営破たんし、民事再生を図るスカイマークを個人的には応援している。


週刊東洋経済の井手会長の話で興味深いなと思ったのは、2つ。

ひとつは、「スカイマークの方針」ともうひとつは「円安による発注していたエアバス機のキャンセル」である。


前者は、マスメディア紙上で、「スカイマークから退職者続出」といった記事が流れ、「待遇が悪い会社」という印象を世間に植えつけた。

井手会長によれば、経営状態がよくなってきたから乗務員や整備士の待遇を上げれば、社員全体の給与も上げなければならず、「独立性を保った格安航空会社」という方針を貫いた経営ができない。

そこで「スカイマークの方針についていけない人は出ていって構いません」と宣言したら、他の航空会社が立ち上がったこともあり、退職者が続出したという。


後者の「円安」の話は、経営破たんにつながる話である。

詳細は省くが、大型機A380の購入と中型機A330のリース費用はドル建てだったために、円安が進み大きな負担になったのだ。

(計画当時は1ドル80円、100円までは想定していたが120円になるのは想定外だったという)

航空ビジネスは、飛行機の選定から導入まで3年程度かかる。

その間に、円安が想定以上に進むと、経営計画が大きく崩れる。


経営リスクには、一般的に、以下のようなものがある。

《内部要因》

◇製品欠陥

◇事故

◇技術力低下

◇人材高齢化

◇設備老朽化

◇不祥事

◇組織の合併、買収

・・・

《外部要因》

◇顧客や利害関係者からの苦情

◇天災

◇法規制の強化や緩和

◇為替レート

◇輸出入に関する外交問題

◇顧客企業や協力会社の倒産

・・・


結果論としては、スカイマークは「為替レート(円安)」のリスクを回避できず、経営破たんした。

しかし、A380を導入して、ヨーロッパ路線に参入するという方向性は、わたしは間違っていなかったと思う。


経営陣が929日以降一新されるスカイマークであるが、「大手航空会社の競争に立ち向かう独立性と独創性」というスカイマークの原点を失わない経営は続けていって欲しいと思う。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ456号より)


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