わたしのコラムを昔から読んでいただいているみなさまには当たり前の概念ですが、「組織のマネジメントシステム認証制度」というのは、まだまだ一般的には馴染みの薄い概念のようです。


あらためて、大雑把に「マネジメントシステム認証制度」について触れておきます。

わたしたち一般消費者は、テレビや家電などの「モノ」やレストランや行政サービスなど「サービス」を購入(利用)するときに、それを使った人の評判やそのメーカーやサービス運営会社の組織規模や知名度といったことを確認して「よし買おう」と決めていると思います。


B to B(企業間取引)の場合は、上記で述べたような「その製品やサービスの評判」や「相手先の会社規模」といったことを評価して取引を決定することももちろんありますが、一般的にはそれに加えて、サンプルを取り寄せて試験をしたり、独自に工場監査を実施したりして、取引を決定するでしょう。


しかし、継続して安定した取引をするとなると、モノであれば、常にいいもの(顧客仕様に合致したもの)を作り続ける企画、設計、製造、サービスといったトータル的な品質(組織管理能力)が問われます。

仮に、サンプルを取り寄せて、それがすぐれた製品だったとしても、生産管理能力が悪ければ、発注しても、予定期日に製品が届かないという事態になります。

また、属人的な人に頼ったモノづくりをしていれば、腕のいい職人さんが退職してしまえば、買い手が要求するレベルのモノを提供することはできません。


したがって、モノやサービスの良し悪しは、その製品や提供されるサービスそのものだけでなく、「組織のマネジメントシステム(仕事のやり方など仕組み)がきちんとしているかどうか」を買い手が要求することになるわけです。


つまり、「マネジメントシステム認証制度」は、買い手側が「仕事のやり方がきちんとしていると証明されたところでないと取引はしませんよ」と要求してくれなければ、基本的には、成り立ちません。

もちろん、副次的に、買い手からの要求はなくとも、「要求された時に備えて」とか「属人的組織運営を見直すきっかけにしたい」といった企業の目的で、自らの組織の仕事の仕組みをしっかり構築しておきたい(ISO9001などのマネジメントシステム規格を利用したい)、という組織もありますが、原則的には、買い手の要求があってこその制度が「マネジメントシステム認証制度」といえるでしょう。


マネジメントシステム規格は、いまや品質、環境、情報、食品安全、情報サービス、エネルギー、道路安全、アセット・・・と多岐にわたっていますが、利用事業者が多い規格は品質と環境で、その国際規格(ISO)が今年(2015年)に大幅に改訂されます。

改訂による影響は、またいろいろな角度で述べたいと思いますが、認証件数的には、残念ですが、私は、かなり減ると思っています。


その理由は、

◇マネジメントシステム認証制度を明確に要求するユーザー(買い手)が増えていないこと

◇アップアップでマネジメントシステムを活用していた組織が改訂規格のレベルについていけないこと

からです。


規格改訂の目的のひとつには、「組織がリスクと機会を認識し、規格と事業の統合をより図ることで信頼される認証制度にしたい」ということだと思いますが、そもそも「買い手側」が認証制度をもっと活用していこう、というニーズがなければ、規格を改訂したところで、どうしようもありません。

もっと、買い手側がこの制度を商取引の信頼性確保に必要不可欠なものである、と認識していただく働きかけも併せてして行かないと、認証制度の管理運営サイドのひとり相撲になってしまうであろう。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ434号より)



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