先週の気になるニュースは、なんといっても「司法試験漏えい事件」である。

あと、競馬に興味がない方は「スルー」したニュースかもしれないですが、JRA通算1918勝という歴代8位の通算勝利数を誇るジョッキーの藤田伸二氏の突然の引退も驚きでした。


この一見すると全く共通点のないニュースですが、ちょっと似ているな、と感じた問題点がありました。

結論から言えば、「公平性」です。


まず、「司法試験漏えい事件」ですが、取り調べの中で、「試験内容を漏らした」とされる明治大学法科大学院の青柳幸一教授は、漏らした相手である教え子だった20代の女性受験生に恋愛感情があった、とかスキャンダル系の報道に偏っています。

しかし、そもそも論でいえば、

「問題を作成する考査委員(事件当時は主査委員)」が「受験生を教えている」という「公平性に関してのリスク」がある状況を容認していたのは法務省である。


もちろん、「国家公務員法の守秘義務違反」と言ってしまえばそれまでであるが「公平性マネジメント」の観点でいえば、「リスク管理に関する認識が法務省は甘すぎる」のである。

公務員の人事自体が「業務に伴って生じる関連組織との癒着や利権の発生防止」を目的に「数年おきに異動」するシステムとなっているにもかかわらず、青柳教授を2005年から10年にわたって考査委員として起用し続けたことこそ、「脇が甘すぎる」のである。

青柳教授をかばうわけではないが、長く委員を務めていれば、権威者となって幅を利かせ、「驕り」も生じるだろう。


もちろん、司法試験の問題作成を「法務省の役人や裁判官、検察官、現役の弁護士」といった「法律の識者が作成する」という方法論もあるが、やはり「学者」を混ぜないと実際問題としては良質な問題作りという観点で難しいのであろう。

しかし、学者を混ぜると「問題を作る人と受験生を指導する人が一緒」になる。

これを「職務上の倫理観」だけに頼って守秘を担保するというのには、無理があることは自明である。


話変わって、突然引退したジョッキーの藤田伸二氏(43)。

引退理由の一つに「競馬界のエージェント制度」があるという。

詳細は省きますが、簡単に言えば、エージェント制度とは、騎手に対する騎乗依頼の仲介人制度である。

仲介人制度は、騎手にとって、

「煩わしい騎乗依頼の処理に追われない」

「馬主や調教師などしがらみに左右されずに騎乗できる」

というメリットがある。


しかし、仲介人の多くは、競馬新聞・スポーツ新聞の記者。

このことは、仲介者が所属する競馬新聞・スポーツ新聞紙上で着順予想を発表する立場にもあるわけで、

「騎乗依頼を仲介しつつ馬券の予想行為を行うことは利益相反する行為」

であり、公平性という点で懸念が生じるのだ。


司法試験漏えい事件と天才ジョッキー藤田伸二氏の突然の引退は、一見すると全く関係のないニュースに映るが「公平性マネジメント」という観点では、類似点があるニュースである。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ454号より)



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