夏祭りの季節になりました。

幼少のころに住んでいた町には、近くに陸上自衛隊の駐屯地があり、当時は、夏祭りに行くのは、わくわくでした。

駐屯地の夏祭りは、町内会の夏祭りや盆踊りと違って、大きな花火が打ち上げられ、自衛隊員さんが模擬店をやっていて、しかも、やきそばや金魚すくいの値段も格安だったので、子供にとっては、とても楽しかったのです。


自衛隊の駐屯地に限らず、夏祭りは、大企業の地方工場でもよく開催されています。

通常、工場が開催する夏祭りなど地域イベントは、工場従業員とその家族、取引先、密接に関係がある地域住民のみなさまに日頃の感謝をこめて開催する意図と直接は関係のない地域のみなさまに会社を知ってもらい、ようは、企業イメージアップの意味もあって催される目的があると思われます

知り合いから聞いたのですが、ある工場が主催した夏祭りイベントに、その工場に勤務する方が工場のある市内に住む自分の友人を招待したら、同僚から「お前の友達に当社は世話になっていないから、勝手に呼ぶなよ」といわれたそうです。

酔っぱらっての発言や社内での人間関係による発言で、「お前の友達に飲ませるタダ酒はない(注:夏祭りで提供される飲料はチケット制で販売されているのでただ酒ではない)」という発言は、本心ではないのかもしれないですが、仮に、「工場が主催する夏祭りは、従業員とその家族、取引先を慰労するためのものであり、それ以外の人は部外者だから来るな!」と本心として思考しているのであれば、その工場の従業員教育は、有効性がないのは当然のこととですが、さらに危険なのは、工場を運営する組織として、大きなリスクを抱えていることになります。


リスクその1は、「一般消費者からその工場がそっぽを向かれること」です。

今は、ネットで情報が拡散する時代ですから、文字や肉声、映像ベースで、その発言が記録され拡散されれば、企業イメージ向上のために開催したはずの夏祭りが、逆に「近隣住民軽視」戸の評判からイメージダウンにつながり、最悪、もしかしたら「不買運動」が起きるかもしれません。


リスクその2は、「景品表示法の優良誤認」扱いされコンプライアンス違反を指摘されるかもしれないということです。

通常、大企業の場合、「CSR報告書(企業の社会的責任報告書)」や「環境活動レポート」を公にウェブや印刷された冊子で開示し、また、こうした企業の取り組みをCMや宣伝材料として利用しています。

この工場の場合も、当然のごとく、調べたら「CSR報告書」が発行されていました。

その報告書には、「夏祭りは、地域との共生を目的に開催します」と書いてありました。

要約すれば、「地域のみなさまとは、良い互恵関係を気づくことで、共存共栄してみんなで繁栄していきましょう」という位置づけで、コミュニケーションを深める意味合いで夏祭りを開催します、と言っているわけです。

したがって、仮に「夏祭りは従業員とその家族の慰安のためのものでそれ以外の人間はシャットアウトだ!」と公に企業内の人間が発言するのであれば、「CSR報告書には、実態と違うウソが書いてあるわけで、上場企業ですから、投資家から「景品表示法の優良誤認にあたりますね」と指摘される可能性も出てきます。


「部外者を夏祭りに呼ぶな」と発言した同僚の言葉や態度には、このようなリスクが内在していることを、組織は認識し、再発防止や予防対策をとらなければなりません。

「たかが、一社員の発言」と甘く見ていると、問題は大きくなってしまうかもしれません。


話は少しそれますが、夏祭り自体にも火災や漏電といった「事故につながるリスク」もあり、環境マネジメントを導入している企業であれば、当然、想定し対応手順の確立と訓練の実施も必要なことは言わずもがなです。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ448号より)



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