2015年8月9日付の産経新聞によると、(以下、引用)
「麦芽の比率などで異なるビール類の酒税見直しに向け、政府がビールメーカーとの協議を開始したことが7日、分かった。ビールは税額を下げる一方、発泡酒と第3のビールは、税額を上げ、税額を一本化する制度設計を年末までに詰める。ただ、販売構成が異なるビール各社の意見調整は難航が予想される。一本化までの過程や移行期間などが焦点になりそうだ。」
と報じていました。
つまり、現在、350mlの1缶あたり
◇ビール 77円
◇発砲酒 47円
◇第3のビール 28円
の税率を「一律55円」にするというのだ。
政府の主張は、
◇税額の差がビール類の販売に大きく影響している
◇ビールの国際競争で後手にまわる要因
◇ビール類全体で税収規模が変わらない制度にする
ということである。
しかし、ホンネは、発砲酒と第3のビールの売り上げが良いので、税収を増やしたい、というのが真相ではないだろうか。
しかし、各社とも、血の滲むような研究開発費をつぎ込んで、「麦芽比率の低いうまいビール」をつくり、組織の経営戦略を立ててきたハズなのに、「酒税の税制改革」という名のもとに、一気にパーにされては、本当にやり切れない話である。
ちなみに、記事によると、2014年度は、
「アサヒビールとサッポロビールはビールの販売比率がそれぞれ約7割、約6割」
「キリンビールとサントリーは第3のビールの販売比率が大きい」
というから、現時点で、大きく打撃を受けそうなのは、キリンとサントリーである。
財務省は、「税率を、一本化するまでに5~7年の移行期間を設ける案を検討」しているというが、この税制改革は、ビールメーカーだけでなく、居酒屋にも大きな衝撃を与えるだろう。
激安飲み放題プランのある居酒屋さんでは、ビールだと追加料金を取るところがほとんどであるが、税率が一律になると、飲み放題価格を安くできる原動力となっていた発泡酒や第3のビールのメリットはなくなり、価格を見直すことになってしまうだろう。
「発泡酒や第3のビールなんて飲んでられない」という「ビール党」には、朗報であるが、税率の安い缶ビール(もどき)で、「ぐびっといっぱい」を楽しんでいた人々にとっては、バッドニュースである。
また、価格だけでなく、日本が誇る「麦芽比率の低い上手いビール類製造技術」もこれで、研究開発力は一気に下火になるわけで、これも、技術力低下という観点では残念でならないな、と思う。
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