国際的な品質と環境のマネジメントシステム規格(QMS規格とEMS規格)であるISO9001ISO14001が、20159月に改訂される。

現在、最終原案(FDIS)が発行され投票中なので、関係機関が各地で規格改訂関連のセミナーを開催している。


QMS規格が最初に発行されたのが1987年、その後、1994年、2000年、2008年と改訂があった。

2008年は微修正なので、大きく変わったのは、1994年と2000年。

したがって、関係機関が大々的に「QMS改訂関連セミナー」を開催するのは、15年ぶりである。

(※EMS規格は、1996年に初回発行があり、2004年に改訂があった)


マネジメントシステム認証制度ができた当時は、認証審査を担当する審査員の多くは、公的資格を取得しており、また、品質管理学会、アセスメント協会など多くの審査員が関連する学会や団体に所属していたので、業界関係者は、所属する認証機関や組織が異なっても、顔を突き合わせる場がちょこちょこあり、専門誌に執筆されていたり、専門図書を出版している人は、特に、そのような場でお見かけすると顔と名前を覚える機会も多かった。


しかし、ここ数年は、そうした勉強会の場は、所属組織単位ごとの研修会が主になったように思う。

したがって、なかなか同業者であっても、学会や関連の講演会に積極的に参加していない限り、顔を合わせる機会が減った。

したがって、今回の規格改訂により、関連セミナーが開催され、出席してみると、15年ぶり、あるいは、20年ぶりに顔を合わせるような「同業者」の方もいて懐かしかった。

次の改訂は、最低でも10年以上先なので、わたしは、まだ年齢的にこの業界で仕事をしているつもりであるが、諸先輩方とは、仕事で関わりがある方以外、もう、お会いすることはないのかもなぁ、と若干、感慨に浸りながら、挨拶(遠くからの会釈レベルを含めて(会釈で済ましている場合は、おそらく相手は、こちらが、誰だかわかっていないだろう)をしました。


・・・と話が大幅に脱線しましたが、改訂規格をちゃんと勉強するために、この種の各講習会に複数回出席していますが、質疑応答を聞いていても、「釈然としないなぁ」というものがいくつかあります。

質疑応答での回答者は、日本を代表して規格改訂の国際会議に参加されたエキスパートの方やもともとの所属が、研修機関、認定機関、学者、国内規格審議委員の方だったりするので、それぞれのお立場があり「誤解して伝わる」のを恐れて「断定的」に回答することが難しい部分はあると思いますが、それにしても質問者やそれを聞いている我々にとっては「う~ん」の回答も多々あります。


感想的に結論を言えば、

「規格を改訂する上でのコンセプトや意図はおおよそ理解できたが、それを実務レベルで組織に展開し、さらに認証審査を受審するという意味においては、世の中のコンセンサスがある程度、共有化および共通化され収束するまでには、相当時間がかかる」

ということです。


もっとざっくりいえば、現状は、

「規格改訂側は、従来の規格での問題点にパッチを貼りました、はい終了です」

したがって、今後は、

「組織のみなさん、どのように適用させていくかは、自分でよく考えてくださいね」

「研修機関やコンサルタントのみなさん、頑張って、ユーザーへの語り部となってくださいね」

「認証機関のみなさん、どのように審査していくかは、これからよく考えてくださいね」

「認定機関のみなさん、どのように認証機関の認定審査を行うのか、見解を示して言ってくださいね」

という突き放された状態なのである。


まぁ、作業ベースで考えれば、「規格改訂」というフェーズと「規格の組織への適用」「改訂規格での認証審査」というフェーズは別物だから、乱暴に言えば、後工程のことは「規格改訂サイドの立場では知ったことじゃないよ」という感じなのでしょう。


認証機関、コンサルタント、研修機関等の立場では、今回の改訂は、「実質的に考慮していた組織にとっては、大きな改訂ではない」というイメージであるが、規格改訂サイドは「大幅な改訂である」という捉え方をしているのも、大きな認識の違いである。

確かに、単純に「規格の中身だけを捉えれば」大きくコンセプトが付加(修正)されている。


9月には、国際規格(IS)として正式に発行される。

「プロセスアプローチ」「PDCAサイクル」に続き、「リスクと機会に基づいたプロセスの計画とパフォーマンスを評価したうえでのPDCAによる改善」という今回の改訂規格を組織に適用し、認証制度においてちゃんと活用していくには、まだまだ相当の時間と議論が必要になることだけは間違いないだろう。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ447号より)



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