ある企業に訪問して、その企業における緊急事態への取組みとその手順書を確認すると、5~6年変更されておらず、訓練もマンネリ化していた。

そこで「手順や訓練内容の見直しはされないんですか?」とお聞きすると、経営者から「緊急事態なんて、そうそう変わるもんではないでしょう」とのお答えが(苦笑)

これだけ、毎日のニュースを見ていれば、全国各地の企業において、火災や爆発といった事故や災害がたくさん発生しているのに、企業の緊急事態に対する認識は、こんなものなのである。


確かに、創業から、30年も40年も経過した企業で、事故らしい事故が1件も発生していなければ、「安全に対する備え」という意味で企業経営の中での重要度は低くなるであろう。

仮に年間の操業日数が250日あるとして、1日、あるいは、半日を「緊急事態の想定と手順の見直し、そしてそれらに関する訓練」に要するのは、「ムダな仕事である」と捉えたくなる気持ちは、経営者の立場でいえば、わからなくもない。


しかし、マネジメントシステムが確立していて、安心、信頼される企業を目指している、と高らかに宣言するのであれば、1年に1~2時間でもいいので、「緊急事態」に関して社員みんなで考えて欲しいと思う。


実際、その企業の場合、

◇工場のレイアウト変更

◇製品に使用する溶剤の種類や使用量の変更

◇倉庫や駐車場など敷地の増設

といった前年度の違いがあった。

したがって、仮に、火災や油漏れといった「緊急事態としての現象」は同じでも、発生原因や発生場所について、想定の変更は当然ある。

したがって、緊急事態の想定と手順は、見直されるもの、と考えるのが普通だし、仮に手順が結果的に見直されなくても、見直しの必要性があるか否かの検討はなされるべきものである。


緊急事態の手順の見直し以外にも、通常の作業手順についても「作業効率が落ちるから社員に考えさせることはムダである」とおっしゃる経営者も、意外と多い。

しかし、従業員数が20人を超えれば、経営者が自ら立ちあげた会社であっても、仕事の中身は各担当者が多かれ少なかれ工夫して変化(改悪も含めて)している。

「考える時間、考えたことを手順にする時間」という、一時的なムダ(本来ムダではないが)はあっても、「考えさせて作業をやらせる」ことの方が、急がば回れ的に、結果的には能率的であることを認識して欲しいものである。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ397号より)



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