ある会社から「マネジメントシステムをもっと改善したいのでアドバイスください」といわれたので、内部監査やマネジメントシステムの事務局の担当者をお呼びしていろいろと質問してみた。
結論から言うと、その会社のマネジメントシステム「適合性はしているけれど、有効とはいえない」と感じた。
内部監査も「適合性の観点が中心で有効性の監査は不十分」のようである。
担当者の方に、その旨を伝えたのであるが、どうもピンときていない。
一般的には「有効性を考慮した監査」とはわかりにくい概念なのかもしれない。
適合性と有効性を下記の整理してみる。
まず「適合性」と「有効性」の定義を確認すると、
《適合性》:要求事項を満たしている程度
⇒計画(決め事や手順)とその実施が必要事項(取り決め)を満たしているかどうか
《有効性》:計画した結果の達成の程度
⇒計画通り(見込みや期待)の結果が得られているか
となる。
ちなみに、経済産業省では、「有効性監査」を
「規格適合性だけでなく、規格がシステムとして有効に機能しているかどうかをパフォーマンスが向上しているかどうかで判断する監査」と定義している。
「定義」を読んで「なるほど」という方はなかなかいないと思うので、「適合はしているか有効ではない」という事例を挙げてみる。
1)是正処置
過去の是正処置事例を調べてみたら、社内の是正処置手順にそって実施されていた。
しかし、類似の是正処置事例が散見された。
問題の再発防止が是正処置な目的なのに、これは是正処置としておかしい。
2)内部監査
社内には改善すべき問題が山積していると誰もが思っている。
しかし、内部監査では改善すべき指摘がほとんど検出されていない。
3)安全パトロール
毎月1回、各現場に対して安全委員が安全パトロールチェックシートに基づいて巡回点検を実施している。
しかし、各現場では、労働災害には至らないが、安全上の作業ミスが多発している。
つまり、
「決められたとおりにきっちりと仕事をこなしていても、その結果が期待通りでない」
場合は、有効とはいえないのです。
ダイエットに例えれば、
ジムのトレーナーが作ったメニューである「毎日野菜を中心とした食事をしている」、「1週間に3回、ジョギングを実施している」が、「半年継続しても、体重が全く変わらなかった」という場合は、「計画通り実施しているが、結果は期待通りでない」(有効性がない=非効果的)ということになるでしょう。
では、この会社では、マネジメントシステムを有効にするためにはどんな観点でのチェックが必要なのか?
月並みですが、日常業務や内部監査において、
◇手順書よりもプロセスをチェックする
◇記録よりも結果を中心にチェックする
ことが大事でしょう。
注意しなければならないのは「結果を中心にチェックする」と当事者は「結果そのものが出ていないと自分に非があると判断され責められる」と誤解して構えます。
流れとしては「結果が出ていない⇒計画(手順)が有効的でない⇒計画(手順)の見直しが必要」という方向に持って行くことがポイントなのです。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ409号より)
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