2015624日の朝日新聞デジタルの報道によると、

「2020年東京五輪・パラリンピックで主会場となる新国立競技場の建設で、文部科学省が、流線形の屋根を支える2本の巨大なアーチを残すなど現行のデザインのまま、大手ゼネコン2社と今月末にも契約を結ぶ方針を固めたことが23日分かった。総工費は基本設計時の1625億円から900億円ほど膨らむ見通しだ」

と報じていました。


つまり、

◇新国立競技場の建設は、予定通り、201510月に着工、2019年春完成

20145月の基本設計時より大幅増の約2500億円の総工費

となるようなのだ。


わたしは、この「新国立競技場の総工費口頭問題」が発生してから、「2019年秋開催のラクビーのワールドカップ開催に間に合わせるのは諦め、設計を全面見直しして、コンペをやり直し、2020年五輪開催をひたすら目指すべき」と個人的には思っていた。


しかし、東京五輪組織委員長の元総理大臣の森喜朗氏が、ラグビー界の重鎮でもあることから、「なんとしてでも2019年のラグビーワールドカップに間に合わせるぞ」というのが基本になってしまったのだろう。


総工費の高騰は、材料費と人件費の高騰といわれるが、五輪が東京に決まった時点で、建設人材の人不足や円安による輸入材料の高騰は、予想できたはずで「計画が甘い」といわざるを得ない。


また、そもそも、3年前の国際コンペで選ばれた建築家のザハ・ハディド氏の作品は、デザインは見ての通り、斬新であるが、そもそも、コンペの要件を満たしていない設計だった。

設計士のハディド氏は、現地視察をしていなかったし、当初の設計は、敷地外に構造物がはみ出る作品(設計)だったという。


国際コンペの審査員や事務局は、この膨大に高騰した総工費の責任をどうとるのだろう。

基本的には、「まったく取らない」わけで、あまりにも無責任すぎる。

建設された後の、維持費用も、おそらく、当初見積もりよりも、膨大するに違いないわけで、建設するのも難産、建設した後も苦労、がつきまという「負の塊のような設備・施設」となる可能性が高いのであろう。


聞くところによると、東京五輪は、国際規格である「イベントの持続可能性に関するマネジメントシステム(ISO20121)」を適用した運営をすることを約束して招致に立候補したといわれている。

この規格では、計画の当初から、持続可能性を基本に据えて、経済性だけでなく、環境や社会に配慮した「レガシー」(イベントの後に残される結果)を強く意識した運営が求められているはずである。


しかし、東京五輪の開会式会場となる新国立競技場の建設に関しては、まるで、このイベントの持続可能性に配慮した運営をしているとはいいがたい。

東京五輪の計画、招致、設計、運営などあらゆるプロセスに関する人が、そもそも、このイベントの持続可能性に関するマネジメントシステムの意図を理解していないから、今回の新国立競技場の建設問題のように、全体の調和を無視した自分の責務のみを追求する「部分最適」っぽいやりかただから、どうしようもない。


せめて、今回の新国立競技場の国際コンペの審査員に、「ISO20121」の知識がある人を選任し、経済性、環境、地域社会への配慮を考慮した設計を選んで欲しかったと思う。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ443号より)


【好評発売中!】
『ちょロジ ニュースで学ぶ7
つの思考法』(パブラボ刊)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4434176552/bloglogcom-22/ref=nosim/

【よかったらメルマガ読者登録お願いします♪】
(パソコンでアクセスしている方)