ある省庁が定めたガイドラインに基づくマネジメントシステムの認証制度がある。
その認証制度の統括組織の幹部の方が、ある講演会の場で、
「この認証制度は、現在、曲がり角に来ている。何か対策を考えなければならない」
というお話しをされたという。
「曲がり角」とは、要は、この認証制度について、「取得する企業よりも認証を返上する企業が増えている」現状が起きているのだ。
もちろん、そのような状態であれば、「何か対策を考えなければ・・・」は、当然である。
ただ、気になったのが「何か対策を考えなければ」の方向性である。
ざっくりいえば、「取得や維持しやすい審査要件」的な対策が多いのだ。
わたしは、社会人になってから、多くの「認証制度」と関わって仕事をしてきたが、認証制度が健全に成長するためには、大きく、
◇発注者や顧客が、認証制度を取引要件としている、あるいは、認証の価値を高く評価している
◇認証企業自身が、ミスの再発防止や仕事の改善、人材教育など会社のためになっていると実感している
という2点が成立しなければ、言わずもがなであるが、いずれ、衰退する。
したがって「いくら、認証自体が取得しやすくなったり、認証維持しやすくなった」としても、上記の2点が、向上しない限り、「取得企業よりも返上企業の方が増える」のは、明らかである。
だから、「何か対策を考えなければ・・・」の方向性に懸念があるのだ。
変な話であるが「学歴」を考えれば、わかりやすい。
例えば、「大学への進学」が、現状の日本において、50%を超えるのは、
◆採用条件で「大卒」を条件とする企業が多い
◆「大卒入社」の方が「高卒入社」より社内の昇進において優遇される
◆「(一流)大学卒」という肩書きを社会が評価してくれる
◆資格取得の際の要件だったり、一部試験免除など優遇措置がある
◆大学卒業者が進学したことで知識や見識が深まり、人間的な幅が広がったと満足している
・・・
といったメリットを感じるから、わざわざ高い授業料を負担してまで、「学歴」を重要視するわけだ。
したがって、本題の「認証制度」に関しても、大学で例えれば「入試を優しくしたり、単位取得を楽にする、学費を安くする」といった措置を取ったところで、「認証を目指す企業や認証維持をする企業」にとって、大きな動機づけとならない。
つまり、そもそも論であるが、「有効な対応策」は、「認証制度の効用とニーズ」を社会に対してアピール、・・・、例えば、国や自治体の他の制度に組み込むなどの働きかけをするといった対応と、認証審査自体が果たす役割の質を上げるしかないのだ。
個人的な愚痴に聞こえるかもしれないが、国や地自体が企画する認証制度は、「認証制度はきちっと作りこむが、出口戦略がまるでない」ケースが多すぎる。
制度を作った人は、それで、評価されて、「はい、おしまい」なのかもしれないが、制度の社会的価値や他の制度との連動性を高めなければ、まるで意味がない。
他の部署が企画し制定した制度は、つい立て一つ隔てた隣の部署の職員にとっては全く無関心という、これも、縦割り行政の弊害のひとつなのかな、と思う。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ416号より)
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