どのようなビジネスでも、苦情やクレームはあります。

それをほったらかしにすると、企業イメージを悪化させ、リピーターを減らし、その苦情やクレームを呈したユーザーの評判から、周辺にいる潜在的な顧客を失うことにつながります。


また、昨今では、某大食品会社の社長の「私は寝てないんだ」発言のように一連の苦情対応のまずさから、企業の存亡さえも危うくするほどのダメージをこうむるケースもあります。

したがって、苦情やクレームに関わる仕事は、精神的な負担も大きく、またそれを修復するための労力やコストもバカにならず、背を向けたくなりますが、きちんと向き合うことが重要です。


・・・とここまでは、苦情やクレームに対する一般的な捉え方です。

しかし、あるカリスマブロガーが自身のブログで「なぜ苦情やクレームはほっといた方がいいのか?」と題したブログを掲載していたので、チェックしてみました。


そのブログによると、

(※以下、主な要点を抜粋)

◇最近の日本では、苦情やクレームに大変敏感になっている企業が多い

◇ちょっとでも苦情が来たら企画を中止し、苦情が来る前から苦情を心配して、なるべく無難な企画にしている

◇テレビ番組も、とにかく苦情が来ないようにセクシー描写や過激企画は避けている

◇楽しんでいる大多数の人の意見より、不満を言う一部の人の意見が優先される機会が増えている

◇苦情を言う人の意見を優先すると、どんどんつまらなくなって、客離れを引き起こしている

◇最近のテレビ番組は苦情に配慮しすぎた結果、つまらなくなってしまったので、1020代はテレビ離れしてしまった

◇かつて日本ではmixiがナンバー1SNSでしたが、アカウント削除しまくった結果ユーザー離れを引き起こした

◇居酒屋チェーンも、みんなで騒げる楽しい場所が減ってしまって、ただのマズイ食料提供所になり、家飲み派を増やしてしまった

◇苦情を言う人の意見にあわせると、どんどんつまらなくなって、結果として客離れを引き起こす可能性も高い

◇苦情対策は一見いいことのようですが、それは実は一部のわがままな客の意見を聞いて、
大多数の文句を言わない客をないがしろにしていることもある

(※抜粋、ここまで)

と主張されていました。


上記の事例は、わたしも一部は同感で同意です。

「一部のわがままなユーザーに配慮しすぎると製品やサービスに満足しているコアなユーザーの支持も失う」ということにつながる可能性もあり、それはあってはなりません。


ただ、確かに、テレビ番組に関しては、かつて一世風靡した「ギルガメッシュないと」、「天才・たけしの元気が出るテレビ」という番組がありましたが、これなど、今放送したら「お色気シーンが多すぎる」「やらせ番組だ」との批判が出て、すぐに打ち切りでしょう。

また、昔の刑事ドラマでは、火薬を大量に使った爆破シーンや残虐な殺人シーンも多かったですが、これも、近隣からの苦情や視聴者から「描写がリアルだとトラウマになる」といったクレームに対応して減ったといわれています。


つまり、テレビに関しては、「スポンサーは、苦情やクレームが一部の声だったとしても、それを契機にその番組が社会問題になり、ひいてはスポンサー企業のブランドにも影響が出る」恐れがあれば、法令順守やコンプライアンスの徹底はもちろん、クレームが出そうな企画は、どんどん無難な企画になっていくわけで、その点では、確かに「苦情やクレームに敏感に対応すること」=「テレビをつまらなくしている」=「苦情やクレームはほっといていい」という論法が、ある意味、成り立ちます。


しかし、これは、テレビの特性である(民間放送の場合)、「スポンサーによってテレビ番組は成り立つ」という構造上、今の時代、仕方がないでしょう。

苦情やクレームに対応せず、その番組が非難にさらされれば、企業リスクも高いので、「ほっといていい」というわけにはいきません。


・・・ここまで書いてきて、気づきました。

もしかしたら、このカリスマブロガーさまの主張、「なぜ苦情やクレームはほっといた方がいいのか?」は、「一部にしか当てはまらない話である」と分かっていて、わざとブログを掲載しているのではないかと。

ブログのアクセスが増えれば、カリスマブロガーさまのビジネスモデルとしては、さらに有利に働くわけですから(笑)


したがって、「苦情やクレームはほっといた方がいい」わけでは決してありません。

製品やサービスに対するポリシーを明確にした上で、その苦情やクレームが正当なものであるか、他に影響を及ぼすものでないかを適切に評価し、結果として「ほっとく」という結果になったとしても、プロセスとしては「ほっとく」ことはあってはならないといえるでしょう。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ427号より)



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