厚生労働省は、2015年4月15日に、診察していない患者のリポートを提出したとして、聖マリアンナ医科大学病院に所属していた医師11人と指導医9人の計20人について、精神保健指定医の資格取り消しを決めたという。
いまさらであるが、ふつうの「精神科の医師」と「精神保健指定医」の違いは、前者は、単なる医師免許を持った精神科の医師であるが、後者は、「精神保健福祉法
第18条に定める医師」の資格で、
「患者に入院を強制したり、身体的拘束を含む行動制限の判断や判断が妥当かどうかをすることができる医師」
である。
つまり、「精神保健福祉法
上の入院においてこうした判定を独占的に行えるもの」という大きな権限を持った医師なのである。
厚労省は、現在、「他の病院の医師についても不正取得がなかったか、過去の申請書類を調査する方針」だというが、当然、やっていただくべき措置である。
ちなみに、問題が露見した聖マリアンナ医科大では、2015年4月23日付の時事通信の報道では、◇外部委員を含む調査委員会で経緯を調べていて、1ヶ月後をめどに厚労省に報告する
◇資格を取り消された医師らには原則として患者を診療させていない
◇在籍していない医師についても、過去に指定医として関わった患者の強制入院や拘束、隔離などの判定について、妥当性を検証していく
という対応を取っているそうであるが、これも妥当な措置である。
組織のマネジメントシステム的には、指定医の監督官庁である厚労省と不正取得医師がいた聖マリアンナ医科大の「とりあえずの対応」は報道されている通りでOKである。
しかし、問題の影響の評価とその対応、再発防止という観点では、まだまだ先が見えない状況である。
仮に、他の病院所属の医師で不正取得があった場合、精神病患者の人権問題に発展する可能性もあり、ケースによっては、精神病として入院・拘束された本人はもちろん、人権団体も問題視するであろう。
また、不正取得した医師がいた聖マリアンナ医科大は、「なぜそのような問題があったのか」という点を追及していくと、組織内部のマネジメントの問題となり、外部の専門家も交えた相当な改革が必要となるはずだ。
わたしたちは、このあたりも注視して、今後、この件についての報道の動向をチェックしていく必要がある。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ434号より)
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