日経新聞の裏一面(最終面)に経済界や学者、政治家、芸能界、スポーツ界など著名な「偉人たち」が月替わりで執筆している「私の履歴書」というコーナーがあります。
2015年4月は、ニトリ創業者の似鳥昭雄氏(現ニトリホールディングス社長)。
それにしても、規格外の破天荒な人生のぶっちゃけぶりに目が離せません。
一般的に、このコーナーは、「あっ、そのエピソード知っているよ」というような、お上品な話題が多く、さらさらと読み流すことが多いのですが、あまりにも似鳥氏が自らの恥部をさらけ出しているので、文章についつい引き込まれてしまうのです。
今まで掲載されたエピソードを少し抜粋すると、
◇小学生の頃、自分の苗字の「似鳥」を漢字で書けなかった
◇父からも月に一回ぐらい、気絶するまでなぐられた。熱があっても(家業の)手伝いは休めない。逆に「気が抜けている」とひどく怒られる。だから頭はいつもコブだらけだった。
◇小学生時代はまさにいじめられっ子。ヤミ米屋だったものだから、「ヤミ屋、ヤミ屋」としょっちゅうののしられた...
◇同級生に自転車ごと川に落とされ死にかけた
◇通知表は1か2しかなかったが、一番成績がいいのは1だよと言って、優等生だと母を信じ込ませていた
◇高校入試に失敗するとすかさず校長宅にヤミ米一俵を持ち込み、入学
◇大学時代のアルバイトは、バーのツケを払わない客をおどして回収する回収屋
◇ニトリを創業して人手不足になると母親は「人が足りないなら結婚しなさい。でも美人はダメ、客が妬むから少々不細工でも丈夫な娘さんにしときな」
◇ヘッドハンティングした営業部長をはじめ社員に横領され20人の社員が5人に
◇坪単価15万円の土地を35万で購入し不動産屋から「価格破壊」とイヤミを言われる
・・・
とこんな調子で、毎日、エピソード満載です。
ちなみに、4月16日付の記事は、「エアドーム店」。
ざっくりとした内容は、
◆1975年に札幌市郊外に南郷店を建設した
◆安い資金で店を建設するため東京ドームのようなエアドームをアメリカから輸入
◆オープン2か月前に代理店業者の手違いでエアドームが届かない
◆テレビ広告も出していたため米軍機をチャーターして空輸(当時の金額で500万)
◆店舗設計と設営を大学の友人に口約束で依頼(似鳥氏は40万、友人は400万と勘違い)
◆エアドーム店の開店(12月)当日、雪の重みでエアドームがつぶれ家具は大方が損傷
◆急遽「開店記念 傷物、半端物大会」を開催し問屋から傷物を仕入れた
◆エアドーム店でライトをつけても暗くサーチライトをつけた
◆サーチライトの店内で見た家具と持ち帰った家具の色の印象が違いクレーム続出
という話。
結果論であるがマネジメント的にはツッコミ満載。
小売業の場合、「商品陳列計画」は製造業でいう「設計」そのもの。
にもかかわらず、「雪に対するエアドームの強度」「店内での商品の見え方」など全く設計審査も設計の妥当性の確認もしないでオープンである。
まさに出たとこ勝負の経営(笑)。
似鳥社長の成功は、子供のころからの卓越した人間観察力と世の中の動きを読み取る嗅覚とそれを即実行に移す行動力と失敗をリカバリーする恵まれた人脈と人間力でしょう。
もちろん、今のニトリにように成熟した大企業となってしまったら、同じような失敗をすれば、世間からは、
「内部統制が甘い会社」
「コンプライアンス対策ができていない会社」
「行き当たりばったりの経営をする会社」
と一気に評判を下げてしまうでしょう。
残り半月の連載から失敗も成功も含め、どんな私たちが学べる「会社経営のヒント」が飛び出すか楽しみである。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ433号より)
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