2015年4月2日付の産経新聞が、
「テレビCMなどに使われる音、色彩、動きなどの商標登録制度が1日、スタートし、特許庁が新商標の出願の受け付けを開始した。初日から久光製薬や東レなどの大手企業の出願が相次ぎ、申請は同日だけで170件を超えたもようだ」
と報じていました。
2015年4月1日の施行された改正商標法では、
「これまで文字や図形、記号など形あるものに限られてきた商標の対象に、音や色彩、動きなどが加わった」
ため、日本では原則的に国内で先に出願した側に商標権の登録が認められることもあり、施行初日から届け出る企業が目立ったようなのだ。
わたしたちもよく知っている「音」の登録申請としては、「胃腸薬の正露丸」。
あのCMで流れるラッパのメロディーを「商標」として大幸薬品は特許庁に出願したそうだ。
また、久光製薬もCMでお馴染の「ヒ・サ・ミ・ツ」は25年前から効果音として使用しており、出願したという。
個人的には、「ラッパの効果音の正露丸」も「久光製薬のヒ・サ・ミ・ツ」も真似するところは出てこないと思うが、
◇インターネットなど動画の普及
◇似た商標が先に出されたら登録できなくなる
という「リスク対策」的な要素が出願企業には強いのだろう。
つまり、改正商標法で、「音や色、動き」というものに対して「商標登録が認められたこと」で、「リスク」として認識したわけである。
「チキンラーメン」や「ほっかほか亭」といったものは、商標登録しておかなければ、確かに真似され可能性が高く登録の意義は高いが、正露丸や久光製薬の場合は、現状「音を真似されました」という事例がおそらく、あるわけではなく、「先を越されたらヤバい」という危機意識から「しょうがない、登録しておくか」という性質ではないかと思う。
要は、ご存知のように、商標は45区分(34区分の商品と11区分のサービス)のカテゴリーで登録されるので、大幸薬品も久光製薬もおそらく「医療用品」の区分での登録であろうから、「仮に医療区分で登録されたら世間に馴染まれてきたCMが使えなくなる」というリスクに対する措置であろう。
それにしても、少々驚いたのが工具メーカー「エンジニア」の「工具のグリップの緑」を商標登録予定という報道である。
「エンジニア」は従業員30数名の中小企業。
2009年に潰れたねじ頭をつかんで回せるプライヤ「ネジザウルスGT」を開発・発売し、大ヒット商品となり、わたしも愛用している。
しかし、「プライヤのグリップが緑」というメーカーは他にもたくさんある。
このケースは、大幸薬品や久光製薬の「守り」のケースと違って「攻めの姿勢による出願」である。
これが商標として認められたら、他の工具メーカーへの影響は相当大きいのではないかと思う。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ431号より)
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