国の予算が決まる衆院本会議を、体調不良を理由に欠席し、本会議前後の不適切な行動が週刊誌で報道され、「国民への説明が不十分」として、維新の党を除名され、地域政党「大阪維新の会」を除籍になった上西小百合代議士が、今回の党の措置は「エモーショナルな処分である」と反論したという。


この「上西議員」の「本会議欠席&前夜の居酒屋&ショーパブのハシゴ&本会議翌々日の秘書との宮津旅行(視察?)」問題に関して、テレビの情報バラエティや新聞、週刊誌などを通じた世論は完全に「上西議員批判」の論調になっている。


わたしは、上西議員を擁護するつもりはないが、ただ、冷静になってきわめて客観的に捉えると、そもそも、これほどこの「本会議欠席騒動」が大きくなったのは、維新の党の最高顧問である橋下徹大阪市長の記者会見が発端だと思う。


上西議員の週刊誌報道やマスコミの突撃取材拒否を受けて、

「国民への説明が不十分」、「私が一番きらうタイプの政治家」、「もし本会議前夜に居酒屋をハシゴしていたのならアウトでしょう」、「秘書と宮津に行った際に秘書の母親の住む自宅に泊まったのなら関係を疑われても仕方がない」・・・などと橋下氏は発言してきた。


「維新の党は自民党とは違うんですよ」

「永田町の感覚ではなく国民の感覚で維新の党は処分しますよ」

と橋下氏は主張したかったのだろうし、統一地方議員選挙や今後の大阪都構想に向けて、橋下氏得意のパフォーマンスのつもりもあったのだろう。


当初は、維新の党の松野幹事長は、本会議の欠席は正当な手続きを踏んでおり、前後の行動に関しては、口頭での「厳重注意」レベルのような感触で記者のインタビューに答えていた気がする。

仮に、上西議員の説明のように、

「本会議当日は動けないほどの体調不良で欠席し、本会議前夜は先輩議員からのお誘いを断り切れず、本会議当日の大阪への帰阪と翌々日の宮津視察時は体調が回復していた」

とするならば、上西議員は、もっと真摯に、

「マスコミ対応の不備と謝罪、そしてもっと明確な説明」

をして、維新の党に土下座してでも、謝罪するべきだったと思う。


それをしないから、橋下氏に先手を打たれて

「一度辞職して、2~3年後に出直したらどうですか?と上西議員には言ったんですが、彼女は法を犯さない限り議員の身分は奪われない。それだったら除名で構いませんといった」

と記者や街頭演説で言われてしまうのである。


西川前農水大臣の辞任の日に妻子ある門議員との不倫路チュー騒動の中川郁子代議士の方が、上西議員と秘書の場合は双方独身であり、倫理的には、アウトだと思うが、明らかにマスコミのニュースとしての取り上げ方は、上西議員の方が大きい。

この違いは、中川氏が、委員会答弁などで憔悴しきった態度を示したのに対し、上西氏は、記者の前でも「何が悪いの?」と開き直ったような、ある意味、ふてぶてしい態度を取っているところにもあると思う。


それにしても、上西氏が、今回の維新の党や大阪維新の会の処分について「エモーショナル(感情的)な処分」と反論しているが、ロジカルに対応するならば「法を犯さない限り議員の身分は奪われない」という「議員の権利」を主張するのは失敗である。

記者に「比例で当選しているのだから無所属になって議員を継続する正当性はなんですか?」と聞かれたのであれば、例えば、


「小選挙区の大阪7区では落選しましたが、個人の得票として67719人もの方から支持をされました。この票は、有効投票数の約36%もあり、無駄にするわけにはいきません」


とか


「わたしは、比例復活での当選ですが、惜敗率は83.4%と高く、小選挙区で落選はしましたが、非自民に逆風が吹く中、多くの有権者から上西個人として負託を受けており、議員活動を続けたいと思います」


とか


「党本部の感情的な対応で除名されたわけであり、わたしがこれまで唱えてきた政策の方向性が変わるものではありません」


とか


「比例単独候補であれば、党を正当な理由で除名されれば、議席は返すべきでしょうけれど、わたしの選挙戦で訴えてきた主張は変わっていないし、党を汚すような行動をとったつもりもないので、議員活動は継続させていただきます」


というような主張をすれば、良かったと思う。

新聞記者やコメンテイターは、基本的に「ロジカルな人」が多いのだから、「議員の法的権利を主張する」のではなく「比例区で当選した議員として議員辞職せずに議員を継続する正当性」をロジカルに説明するべきだったと思う。


個人的には、良い意味でも悪い意味でも、カリスマ性があり、マスメディアへの発信力が強すぎる橋下氏がいる維新の党で国会議員になれたんだから、ここは、一度、議員辞職して、次回の衆院選で公認をもらって出直すのが長い目で見れば良かったと思う。

辞めて出直せば、大阪7区の有権者からは「みそぎは済んだ」として支持が得られたことだろう。



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