201542日付の朝日新聞デジタルによると、

「桜美林大学の航空パイロット養成コースが、訓練の管理のずさんさを国土交通省から指摘され、国の養成施設としての指定を3月末に返上していたことがわかった。大学による国のライセンスの技能審査に疑念が生じたため、国交省は、パイロットのライセンスを取得した学生の技量テストをやり直す異例の措置をとった」

という。


記事によると、

◇日本航空元機長で、養成コース長の宮崎邦夫教授は「就職対策に力を入れすぎ、組織運営や安全管理がおろそかだった。反省している」と話した

◇格安航空会社(LCC)の急増でパイロットは世界的に不足している

◇15年後には国内だけで(パイロットが)2千人以上足りなくなるとの試算がある

◇国交省の審議会は20147月、私立大を日本のパイロット養成の柱の一つに位置づけた

◇安全運航と事故防止に向け、養成機関の質の確保が緊急の課題となりそうだ

と報じている。


現在、日本では、民間航空会社のパイロットになるには「3つの方法」がある。

それは、

1)航空大学校を卒業してライセンスを取得する

2)航空会社に就職して航空会社で養成されてライセンスを取得する(自社養成)

3)大学のパイロット養成課程を卒業してライセンスを取得する

(事業用操縦士過程は、東海大学、桜美林大学のみ、法政大学は自家用操縦士過程)

という方法です。


パイロットを目指す側にとっては、「自社養成」が一番、経済的リスクがありません。

航空会社に就職すればお給料をいただきながら訓練が受けられますが、その分、就職の倍率は熾烈でしょう。

航空大学校は、独立行政法人ですから、公的な機関であり、費用面では安いですが、こちらも入試倍率は熾烈でしょう。

経済的に余裕があれば、「大学のパイロット養成課程」がライセンス取得までのプロセスは難易度が低いですが、今度は「就職の問題」があるようです。


パイロット養成講座は、授業料も高く、大学側としては、就職実績を上げなければ、入学志願者に影響を与えてしまう。

記事で、桜美林大学の宮崎教授が応えるように、「就職指導に力を入れて過ぎた」という傾向になってしまうのも事実であろう。


医師国家試験の場合は、医学部を卒業すると、「医師国家試験の受験資格が与えられる」だけで、国家試験は別にあるが、パイロット養成講座の場合は、国の指定を受けると「技量試験」が免除され、国のライセンスが発行される。

イメージ的には、クルマの運転免許のようなもので、公認の教習所あるいは自動車学校ならば、その学校が実施する技量試験(路上試験)の合格を持って実技OKとなるが、パイロット養成講座は、それと同じような仕組みなのだ。


つまり、今回、桜美林大学は国の指定を返上したということは、パイロット養成講座を卒業しても、技量試験は、国が実施する技量テストをやり直さなければならないのだ。


格安航空会社の台頭により、パイロットが不足することは目に見えているが、パイロットの質が落ちるようでは、ドイツのルフトハンザ航空子会社の墜落事故(副操縦士による故意的墜落事故)にも見られるように、乗客サイドとしては不安でたまらない。

しかも、格安航空会社のパイロットの待遇は、大手航空会社より格段に安いと聞く。

そうなると、パイロットの調達は、外国人操縦士か航空自衛官に頼るしかないのではないだろうか。


素人考えではあるが、国は、パイロットを粗製乱造するわけにはもちろんいかないから、航空自衛官を民間航空会社に出向させるような仕組みも検討するべきではないだろうか。



【好評発売中!】
『ちょロジ ニュースで学ぶ7
つの思考法』(パブラボ刊)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4434176552/bloglogcom-22/ref=nosim/

【よかったらメルマガ読者登録お願いします♪】
(パソコンでアクセスしている方)