職人気質の創業者の会長と銀行出身の創業者の長女の美人社長が経営方針を巡って対立し、「お家騒動」として、世間の注目を浴びている大塚家具の株主総会が2015年3月27日に開かれるという。
一般的に双方の経営方針(経営の方向性)は、
《勝久会長》
→高付加価値路線:接客に注力して家具一式を売り込む
《久美子社長》
→カジュアル路線:気軽に入れる店づくり
といわれている。
ご存知のように、大塚家具は、「会員制」を敷いている。
その理由は、大塚家具のウェブサイトによれば、
『ご登録いただいたお客様に限定したシステムにすることで、定価表示を慣行とする業界との摩擦を回避し、「実売価格表示・値引き販売」を実現』
とある。
つまり、「実売価格表示」をすることで消費者には支持されたが、それによって値崩れを嫌がる国内メーカーの出荷停止が起こり、それに対抗する策として「不特定多数の顧客ではなく、限られた顧客に販売するから業界全体には大きな影響はない」との理屈で国内メーカーの怒りをそらしたのが会員制を導入したきっかけでしょう。
ただ、個人的には、「会員制」が苦手である。
「会員登録」するのが、なんとなくめんどくさく、敷居が高い。
そして、なによりも、大塚家具は、ライフスタイルやライフステージにあわせた「生活提案型」の販売スタイルが「基本方針」なので、高度な専門知識を持ったスタッフが、付きっきりでついて売り場を回る。
なんの買い物でもそうであるが、「専門家の知見で私にあったトータルコーディネイトをしてください」となるとサービス内容は「製品販売」だけでなく、「生活アドバイザー的サービス」も含んだ「高付加価値」となり、これが居心地の良い人は存在する。
ただ、わたしにように、事前にカタログなどで徹底的に調べ上げ、あとは、現物を実際に見て、決断を下すタイプの消費者にとっては、「ついて回られるのはウザイ」と感じ、むしろ「ほったらかしにしてくれ~」なので、わたしは「大塚家具スタイル」は苦手なのだ。
経営コンサルタント的視点で今後を捉えれば、
「勝久会長と久美子社長の双方の経営方針はそれぞれ一理あり」
と考える。
そのように考える詳細のプロセスは省くが、
◆人口減少などで家具市場が縮小している
◆家具業者が成長するためには人口密集の都市部で店舗を増やす必要がある
◆店舗を維持するため位には、不特定多数の新規顧客を取り込む必要がある
◆新規顧客を増やすためには心理的なハードルを下げる必要がある
◆まとめ買いのニーズはあり、広大なショールームも必要
◆高度な知識を持つ専門スタッフの存在は大塚家具の強み
といった理由からである。
したがって、私としては、結果的には「経営戦略の折衷案もあり」かな、と思っている。
つまり「IDC(インテリアデザインセンター)」をブランドにしているそもそも論の「生活提案スタイル」という付加価値サービスの要素は残しつつ、「生活提案スタイル」をどちらかというと嗜好する客層の新規開拓を促進するために、心理的なハードルを下げたカジュアルスタイルの店舗づくりを目指してはどうか、と思うのである。
「IDC大塚家具」という1種類のブランドでの店舗づくりが難しければ「カジュアルIDCオオツカ」(仮称)とでも名付けたブランドの店舗を立ち上げてもいいのではないかと思う。
プロキシファイト(委任状争奪戦)の行方は、勝久会長サイドが有利だとの報道もある。
ただ、仮に、久美子社長サイドがプロキシファイトに勝利した場合、大塚家具の強みでもある専門知識の高い社員は、カリスマ創業者に憧れと尊敬がある人材が多いでしょうから、会社を去っていってしまうのではないかと思う。
「経営資源への影響」という意味で捉えれば、勝久会長サイドが勝利したケースの方が、ダメージは少ない気がする。
ただ、長い目で見れば、「ふらっと立ち寄りたい新規顧客開拓」という課題は、勝久会長サイドが勝利しても、真剣に取り組まなければ、均衡縮小の会社経営となっていくことは明らかであろう。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ429号より)
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