「アセットマネジメント」ということばをテレビCMでもよく耳にするようになった。


一般的には、

「アセット(asset)」 =「 資産、マネジメント(management)」=「管理・運用」の意味で、アセットマネジメントとは、様々な資産の管理・運用を代行する業務のことを指しているようです。

テレビCMに登場するような会社の仕事を調べてみると、ざっくりいえば、「個人および企業の金融資産や不動産などリスク資産を管理する仕事」が「アセットマネジメント」のようです。


このように「アセットマネジメント」が社会の中で大きなニーズを持つようになり、2014110日に、マネジメントシステムの国際規格としても「ISO55001」が発行されました。

日本で、「アセットマネジメント」の重要性が大きく認識されるきっかけとなったのは、201212月に中日本高速道路が管理する「笹子トンネル」で発生した「天井板落下事故」である。


高度成長期においては「社会的インフラ」は「作ること」に重点が置かれていましたが、現在、高度成長期に、集中的に整備された日本の社会的インフラは、道路はもちろん、ダムや橋梁なども、急速に老朽化が進んでいるといわれています。


しかし、日本経済の停滞や人口減少問題とともに、地方自治体の財政は悪化し、行政職員の削減とともに、以前は役所に存在したいわゆる「インハウスエンジニア」は減少あるいは、弱小自治体においては存在せず、地方自治体が所有する社会的インフラ(資産)の維持管理や更新の効率化や省力化、つまり、「リスクとコストとパフォーマンス」の最適化が急務となっています。


また、東日本大震災のような地震と津波のリスクや異常気象もたらす自然災害への対応を想定した国土強靭化への取組みが、現政権の「骨太の方針」となっており、「新しく造ることから賢く使うことへ」のシフトが示されています。

つまり、社会的なインフラを効率かつ効果的に運営するために、民間の提案(新設、既設の社会的インフラを企画立案、運用管理する受託業者)を大胆に取り入れながら総合的なアセットマネジメントの推進も政府の方針となっています。


実際、「アセットマネジメント」でウェブを検索すると各地方自治体のアセットマネジメントの取り組みが紹介されており、仙台市は下水道事業で日本初のISO55001に基づくアセットマネジメントシステム認証を20143月に受けています。


やはり、今後予想される下水道施設の老朽化に伴う維持管理や更新事業の増大と多額の費用の発生が見込まれる一方、人口減少にともない下水道使用料など「収入の減少」は予想されるので、アセットマネジメントを取り組まざるを得なかったのでしょう。

そして、その取り組みを役所全体に波及させ、定着させる動機づけのひとつとして「第三者認証」にチャレンジしたのでしょう。


わたしは仕事柄、地方自治体の業務改善指導をしたこともありますが、その時のイメージでいえば、「限られた経営資源をいかに最適に配置してインフラを管理していくか」という観点は、「えいやー」という側面も否めない感じでした。

具体的には、住民からの陳情や有力政治家の声に大きく影響され、メンテナンス手順も一律の方式であり、例えば、道路に例えるならば「交通量や立地特性」といった「劣化データ」を考慮したマネジメントという発想は、かぎりなくゼロに近いのではないかと思います。


アセットマネジメントは、地方自治体の場合、所有者である地方自治体がアセットマネジメントを導入することはもちろんですが、実質的にアセットの管理を企画立案し、施設の運用と維持管理は委託業者が実施しています。


アセットマネジメントの国際規格「ISO55001」の「8.3項アウトソーシング(外部委託)」では、

1)アウトソース実施時のリスク評価

2)アウトソースプロセスの管理方法

(アウトソースするプロセスと活動の範囲の決定、管理する組織内の責任と権限の決定、契約しているアウトソース先との間で、知識と情報を共有するための手順の決定)

3)アウトソーシングにおけるISO55001 の活用

(アウトソースされる業務を行う受託者は、力量、認識、文書化された情報の要求事項を満たすこと。アウトソースされた業務のパフォーマンスを、定めた方法で監視すること)

が規定されており、おそらく、各地方自治体が発注する受託者の選択と受託業者の管理に「アセットマネジメント(または準ずるマネジメント)」の導入や運用が要求されてくることでしょう。


また、組織が所有するアセットを適切に管理している証という視点で「アセットマネジメントに第三者認証」を捉えれば、銀行など金融機関、損害保険会社、証券業界やM&A(企業の合併買収)業界での活用も大いに期待されるところです。


日本の組織会計を少しでもかじっていいれば、「財務諸表」と「資産管理を含めた業務管理実態」や「組織の経営的健全性」が必ずしも整合していないことは、経験的にわかる。

イメージ的には、まだまだ一般的に、「アセットマネジメント」というと「資産所有者」や「資産の財務的運用業者」のための管理ツールという感じがするが、実際は、全組織に適用しうるマネジメントシステム規格であるし、きちんと管理することは、社会正義でもあると思う。


日本の場合、「老朽化する社会的インフラのメンテナンス」という概念でスタートしたアセットマネジメントであるが、わたしは、このマネジメント規格は、今後、大化けする可能性がある社会的にも意義あるマネジメントツールであると思う。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ405号より)


【好評発売中!】
『ちょロジ ニュースで学ぶ7
つの思考法』(パブラボ刊)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4434176552/bloglogcom-22/ref=nosim/

【よかったらメルマガ読者登録お願いします♪】
(パソコンでアクセスしている方)