2014年11月11日付の時事通信が
「中部電力 は(11月)11日、係長級以上の女性管理職(8月1日現在約110人)を2020年までに2倍以上に増やす方針を明らかにした。
女性が働きやすい環境を整備するため勤務制度を柔軟化するほか、男性を含む社員に男女の役割意識を考え直す研修などを実施する」
という記事を配信していました。
女性管理職を増やすことは安倍政権の政策課題のひとつでもあり、中部電力の発表した方針もこうした社会情勢を背景にしたものであることは間違にない。
個人的には、仕事に対する意欲や情熱のある人、能力のある人という点では、性的特性(例:力仕事など)を除けば、男女差はないので、「結果として女性管理職が増えること」は、当然のことであるし、能力があるのに昇進に関して不当な扱いを受け、「眠っている能力ある女性人材」がゴマンといるならば、大局的に捉えれば、国益を向上させることにもつながると思う。
ただ、この手の議論で気になるのは、「女性管理職の割合」や「女性管理職数」といった「数値達成」が目的化している懸念である。
こだわるようであるが、「女性管理職比率の向上」や「女性管理職数の向上」は、結果であって、日本政府や行政、企業などが取り組むべき課題は「女性がより働きやすい社会保障制度や職場環境づくり、従来の男女の役割に対する常識や慣習を変えること」であって、数値目標は、「その課題がクリアされて効果が出てきているか否かの指標」に過ぎない。
例えば、冒頭の中部電力の場合、2013年度のCSRレポートによると、男女の職員数は、15,704人(89%). 1,855人(11%)となっており、2014年8月現在で係長級以上が「110人」ということは、ざっくり、女性社員の約6%が、係長級以上が管理職であり、2020年までに倍にするということは、女性社員の約12%を係長級以上にするということである。
男性社員の係長級以上の管理職比率は不明であるが、「男性社員の管理職比率と同レベルにする」といったような指標であれば妥当であると思うが、「単純に管理職数を倍」というのは、妥当な数値目標設定といえるのか疑問である。
私の経験でいえば、コンサルティングのクライアントで、「担当課長」という役職を増やし女性管理職数を見た目上(数字上)増やしていた企業があったが、これなど、本来の目的である「能力や意欲のある人が活躍できる職場づくり」よりも「数字作り」に奔走しているのが実態で、意味がないよなぁ、と思ったものだ。
「女性管理職数の倍増」や「女性管理職比率×%」といった数値目標は、一見、「優秀な女性の登用」が推進できている企業に写るが、本来の目的は、「社会人女性を取り巻く社会保障や職場環境、慣習」を改善することであり、数字だけに我々は踊らされて見方をしてはおかしいのである。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ411号より)
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