やや旧聞に属する話であるが、「ナッツリターン騒動」を振り返ってみたい。
そもそも「ナッツリターン騒動」とは、
「大韓航空の趙前副社長が2014年12月5日、自社の乗務員のサービスに激怒し、滑走路に向けて動き始めていた航空機をボーディングブリッジに引き返させていた問題」
のことである。
まず、法規的な問題としては、
◇滑走路に向けて動き出している航空機を引き返えさせる権限があるのは機長
◇副社長が機長を無視して、引き返すことを指示していたのなら航空法違反
ということらしい。
安全面上の問題は、
◇客室責任者(チーフパーサー)を航空機から降ろし、代替の乗務員を乗せなかった
◇通常より「欠員1名」で運航していたことになり、緊急時の対応に不備が出る恐れがあった
という点。
大きくは、前副社長が取った行動で「忌々しき問題」とされる点である。
テレビ報道では、大韓航空機側は、「サービスマニュアルに熟知していない責任者がいたので、サービスに支障が出るため(品質面で問題があるため)乗務から外した」と説明しているが、航空機、船舶、鉄道、バスなどの交通機関の場合、一番、優先されるべきは、「安全面」であり、「品質」より重要である。
仮に「サービスに支障が出るレベルの乗務員」であり、そのため「乗務から外した」としたら、その判断をしたのは「機長」なのか「副社長」なのかである。
今回の件は「地上」での話であるが、空の上で、咄嗟の判断をしなければならない状況において、機長以外の意向が判断に影響されるのであれば、問題である。
さて、そもそも、前副社長が、激怒した「ファーストクラスでのナッツの提供の仕方」であるが、大韓航空のマニュアルでは「ナッツは袋から出して皿で提供すること」が決められているという。
その点においては、前副社長の「客室乗務員に対する指摘(マニュアル通りではない)」は正しかった。
しかし、そのことは、前副社長が、サービスに関する最高責任者であったことから、到着地についてから、議論すればよい話で、他の乗客が搭乗しているにもかかわらず、引き返させる(最終的には10分遅れで到着)話ではない。
ちなみに、「サービスマニュアル上」は「ナッツは皿に入れて提供する」となっているようであるが、
◇乗務員教育のビデオでは、ファーストクラスの客にナッツを袋のまま提供している
と「マニュアルと教育ビデオで不整合」が生じていたという。
つまり、乗務員によって、「皿に盛る」「袋のまま出す」のどちらが「正式なサービス」なのか、判断があいまいだった可能性がある。
また、今回の場合、滑走路へ航空機が移動している最中の話であり、「離陸直前の安全上、袋のままナッツを乗務員は提供した」という可能性もある。
わたくしなど、「マネジメントシステムの専門家」としての立場でいえば、
◆マニュアルと教育ビデオの不整合
◆ナッツの提供の仕方が、その状況によって違うはずだがマニュアル上、あいまいなこと
といった点に問題があるとして副社長は、その場で激昂せずに、マネジメントシステム上の不備として捉え、問題の原因究明と再発防止(改善)をとるべきだったのだ。
なお、一般の乗客が、前副社長と同じ行動をとったなら、機長の判断で、航空機から降ろされる可能性がある。
ただ、仮にサービス品質について、「問題提起」しているのであれば、乗務員は、「客の声を確実に社内に上げる仕組み」がなければ、継続的な改善は機能しない。
マスコミは「財閥令嬢の横暴」ばかりをニュースとして報道しているが、サービスマニュアルに不備があることがわかったわけで、社内の改善体制についても言及して欲しい。
また、飲食店などで見られる、「覆面パトーロール調査員」を大韓航空は、採用して自社のサービス品質をチェックする仕組みはあるのかな、と今回の騒動を通じて感じた次第である。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ416号より)
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