2014年12月1日付の毎日新聞によると、
「新潟県三条市教委は1日、市立の全小中学校30校で、牛乳なしの給食を試験的に始めた」
という。
記事によると、
◇三条市では「ご飯を中心におかずを食べる正しい和食の知識を身につけてほしい」と2008年度から完全米飯給食を実施している
◇保護者から「牛乳は合わない」との意見が相次いだのが発端
◇専門家からはカルシウムなどの摂取不足を懸念する声も上がっている
◇三条市教育委員会は今年度中は牛乳なしの給食を続けて反応などを調べ、今後の給食のあり方を決める
という。
そもそもであるが、戦後の学校給食は、食糧不足の時代背景から、児童の欠食対策として取り入れられた、
ちなみに、学校給食法第2条では、学校給食を実施する目標が以下のように、決められている
(以下引用)
1)適切な栄養の摂取による健康の保持増進を図ること。
2)日常生活における食事について正しい理解を深め、健全な食生活を営むことができる判断力を培い、及び望ましい食習慣
を養うこと。
3)学校生活を豊かにし、明るい社交性及び協同の精神を養うこと。
4)食生活が自然の恩恵の上に成り立つものであることについての理解を深め、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養うこと。
5)食生活が食にかかわる人々の様々な活動に支えられていることについての理解を深め、勤労を重んずる態度を養うこと。
6)我が国や各地域の優れた伝統的な食文化についての理解を深めること。
7)食料の生産、流通及び消費について、正しい理解に導くこと。
(引用ここまで)
三条市のある新潟県は、良質なお米の大生産地であるから、学校給食法の目標に照らし合わせても、「ご飯を中心におかずを食べる正しい和食の知識を身につけてほしい」という狙いは、土地柄、重要なことである。
学校給食に「パン」が広がったのも、そもそもは、アメリカで余った小麦を日本で消費させ、極端な「米食」から「パン食」に食文化を変えさせようとしたアメリカの意図もあったという。
話を元に戻して、「牛乳廃止」についてであるが、三条市では、学校給食の主食が「ごはん」になったことで、「牛乳はごはんに合わない」という意見が出始めたという。
確かに、「ごはんに牛乳」は、日本人の場合、「お茶碗で食べるごはんと乳製品(牛乳やチーズ、ヨーグルトなど)」は確かに違和感がある。
しかし、不思議な話であるが、ご飯を「お皿」に盛れば、違和感はなくなる。
具体的には、クラムチャウダーやドリア、タコライスなどには、牛乳やチーズが入っているし、カレーの隠し味にヨーグルトを入れることもある。
だから、個人的には、「ごはんをメインにしたって牛乳を廃止する必要はないじゃないか」と思う。
ただ、「正しい和食の知識を身に付ける」という目的に従えば、「飲み物としての牛乳はお茶や水」の方が合うであろう。
しかし、牛乳が担ってきた役割は「カルシウムの摂取」という側面があり、牛乳をお茶や水に変更すれば、確かに、不足するから、カルシウムを考慮した「おかず」を増やす必要が出てくる。
わたしは、この問題の根本は、「和食の正しい知識」という点に「こだわりすぎ」ではないかと思う。
学校給食では、日本であるから、「和食」がメイン(例:5割)だったとしても、教育という観点で考えれば、洋食や中華、アジアン料理なども、給食のメニューにすればよいのである。
いろいろな食事(和食、洋食など)には、その食事に合った副菜や飲み物があるということを教えるべきである。
和食を純粋に追及するのであれば、そのその、使用されない食材があるわけで、それこそ、「食材の偏りが出て、摂食に関して誤っている施策である」と思う。
「牛乳」云々を議論する前に、「そもそも学校給食を通じて教育すべき食育とはなんぞや」という点で、教育委員会は再考すべきではないだろうか。
【好評発売中!】
『ちょロジ ニュースで学ぶ7つの思考法』(パブラボ刊)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4434176552/bloglogcom-22/ref=nosim/
【よかったらメルマガ読者登録お願いします♪】↓
(パソコンでアクセスしている方)