企業の品質管理システムや環境管理システム、情報セキュリティシステムなどのいわゆるマネジメントシステム監査を実施する場合、連続で訪問審査する回数を3年とか4年とかに決めているケースが多い。
その理由は、第三者審査の場合、受審企業との透明性や公平性確保が、監査の信頼性に大きく関わるためだ。
監査の特性上、受審企業から審査料金を頂いているという時点で、厳密には、「利害関係」が生じている。
したがって、何年も連続で監査に訪問するということは、監査事態にバイアスがかかる恐れがあるため、連続訪問の回数限度を決めているのである。
また、監査の副次的なメリットとして、適切なマネジメントシステムが構築され、維持され、継続的な改善が行われているか否か、という観点をチェックするだけでなく、受審企業側から見れば、「経営改善や業務改善へのヒントになった」とか「見過ごしてきた問題に気づかされた」という「第三者の視点」が有益になることが多い。
しかし、あまり多く連続で訪問してしまうと、そういうメリットが薄くなる可能性も高い。
もちろん、同じ監査員が、連続監視することでの前年度との違いなどから、例えれば、「かかりつけ医にずっと診てもらった人」は、かかりつけの医師により、その人の体質を理解した上での正確な診断が下せるのと同様、企業の場合もそういったチェックができるので、連続訪問制限は、そういったメリットを排除してしまう可能性(デメリット)もある。
また、あらたな監査員が訪問するとなると、いちから説明が生じる部分もあり、その企業の仕組みを理解することで、当該年度の監査が終わってしまうため、実質的に中身のある監査は、その翌年から、というケースも生じ、監査がムダというか、効率的でない側面もある。
先日、ある会社の監査に4年連続で訪問し、翌年の監査について、受審企業と打合せをしていた。
この会社に適用されている監査のルールでは、「4年連続」が連続訪問の限度となっている。
受審側は、それをよく把握していなかったので、説明すると「来年はお越しいただけないんですね、当初は、環境経営システムをきちんと把握できていなかったのですが、いまでは、経営方針とベクトルを合わせて活用できるようになりました。ありがとうございました」と、おそらくお世辞も含めておっしゃっていただいた。
実際、訪問当初は、経営者のインタビューをした時も経営者は「環境経営システム不要論」というか「監査事態の否定」からスタートした会社だった。
具体的には、「私の前任の組織では、環境経営システムを導入して、過度な省エネにより仕事がやりにくくなった。こんなもの導入しても経営にメリットなどない」と「だったら、環境経営システムを導入して、監査を受けるなよ!」と言いたくなってしまうぐらい、ケンモホロロの状態だった。
しかし、環境経営とは、単なる事務所のエコではなく、自社にとっては業務の効率化やリスクマネジメント、企業イメージ向上、顧客にとっては、環境負荷削減、その他の利害関係者にとっては社会貢献といった「会社の業績アップともほとんど相反することが無い仕組みである」と監査を通じて、理解していただいてからは、経営者の発想の転換も早かった。
実際、その企業の売上の中身を見ても、今までは、どちからというと既存業務を淡々と仕様書に沿ってこなすだけの組織であったが、いわゆる「提案営業」や「設計段階からのサービス提供」にまで踏み込む企業となり、数年後には、コアな既存の基幹ビジネス以外の売上の方が大きくなりそうな勢いで、職員数も4年前と比較して増えている元気な企業に変わっていたのである。
監査は、その企業の発展に関しては、ほんのわずかな一翼を担っただけだとは思うが、こういう変化は嬉しいし、保守的な社内体質が積極的に意見交換が活発な体質にあきらかに変わったことも監査に携わった人間としては嬉しい。
正直、こうして、マネジメントシステム監査を通じて、いい意味での組織の変貌が見られるケースは一握りであるが、こういうシーンに出会えると監査員冥利に尽きるのである。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ395号より)
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