スポーツの記者会見において「負けた試合」で選手がインタビューアーからどんな質問を受けても「結果がすべてです。次はチームに貢献できるよう頑張ります」と回答するシーンがよく見られる。

プロスポーツの世界においては、「内容が悪くなくても、結果が出なければいずれは、起用されなくなりクビ」になる厳しい世界だ。


しかし、ビジネスの世界でいえば、営業マンなら「売上高」や「契約件数」、研究者なら「論文発表数」、開発技術者なら「特許件数」、製造部門であれば「不良件数」、人事部門であれば「3年目離職率」といった『結果』が求められる。

ただ、管理者が、これらの結果のみで担当者の業績評価をしていたら、間違った評価をしてしまうことも事実である。


ビジネスの例だと、わかり難いので、「野球」を例にして考えてみる。

「先発投手」の場合、わかりやすい「結果」指標としては、

◇勝利数

◇敗戦数

◇勝率

◇防御率(=自責点×9/投球回数)

などが挙げられます。



しかし、これらの数字は、わかりやすい「結果」ですが、

「結果がいい=優れた先発投手」

というには、短絡的です。

なぜならば、結果に繋がるプロセスで「ノイズ」が多いからです。


「ノイズ」の例を挙げれば、

◇内容がよいピッチングをしても、相手投手や相手打線の出来栄えで左右されやすい。

7点取られても、自軍が8点取れば勝利投手であるし、1点に抑えても、自軍が得点を獲得できなければ、敗戦投手となる)

◇内容のよいピッチングをしても、自軍の守備のエラーが多ければ、失点が増える

◇勝利投手の権利(5回を投げ切ること)を得た後で、その後の投手が打ち込まれれば、勝利がつかない

◇負け投手の責任を負った状態で降板しても、その後、自軍が逆転すれば負けがつかない

◇ヒット性の当たりを連発されても、自軍の守備力が高ければ得点に繋がらない

といったようなケースである。


このように、「結果だけで良し悪しを判断する」と正当に能力を評価できないわけです。

野球における「先発投手」の評価指標として、比較的新しいものに、

◆クオリティスタート

WHIP

があります。


「クオリティスタート」の定義は、

「ある先発登板の結果が6イニング以上かつ3自責点以内であること」

です。


つまり、「概ね先発として“試合を作った”ことに対する評価指標です。

したがって、

◇シーズン全体でのQS

◇先発登板数に対するQS数の比率

が「先発投手としての役割を果たしているかどうか」の大雑把な評価指標となるわけです。


一方、「WHIP」の定義は、

WHIP=(被安打数+与四球)/投球回数」

です。

この数字の意味するものは、

1イニングあたり、何人の走者を出塁させたか」

です。

いわずもがなですが、出塁数が増えれば、当然、球数は増え、失点の可能性も高くなるわけで、この数字が小さければ小さいほど、「優秀な投球内容」と概ね見ることができるわけです。


ビジネスの世界の「営業マン」の例でいえば、「売上高や契約件数」は「結果の指標」ですが、「見積依頼件数」という指標は「契約に繋がる可能性を持つ」という意味で「(結果に繋がる)内容の指標」と言えるわけです。


上記に挙げた事例は、比較的、わかりやすい指標だと思いますが、要は、「短絡的な結果」だけで、ものごとを捉え評価することは、「正しい評価となっていない」可能性があることを理解する必要があるのです。

特に、管理者において、数字で客観的なマネジメントを実施する場合は、「結果指標」だけでなく「プロセス指標(内容指標)」を設けて評価する必要があるのである。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ389号より)



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