組織がマネジメントシステム(=経営管理の仕組み、仕事の仕組み)の質を向上させて、組織を成功へと導くために重要な概念をざっくり表現すれば、

◇常に顕在および潜在的顧客の要求事項を重視する(顧客重視)

◇マネジメントシステムを継続的に改善する

ことであろう。


では、「マネジメントシステムを継続的に改善する」とは、具体的には、どんなことが「きっかけ」になるだろう?・・・と考えれば、

◇不適合製品やサービスの発生

◇苦情の発生

◇法規制等の逸脱

◇組織が決めた仕事のルールを守って仕事をしていない

◇目標や目標達成のための手段として決めたことが実現できていない

◇マネジメントシステム監査により指摘が検出された場合

◇マネジメントシステムやプロセスが効果的でない場合

といったケースになるだろう。


日本人の多くの人の思考として「修正や是正処置、予防処置を実施する」という行為は「ネガティブ」なイメージを持っているためなのか、「マネジメントシステムが改善された事例」を組織で確認しようとすれば、上記でいえば、「不適合製品やサービスの発生」あるいは「苦情の発生」に関しては改善事例を容易に確認することができる。

しかし、それ以外のパターンで「記録として残っている改善事例」を探そうとすると、殆ど出てこない。

10歩譲って(笑)」、内部監査出の指摘に基づく改善事例や目標の未達成による改善事例は探すことができたとしても、「業務プロセスが効果的でない場合」を「きっかけ」にした改善事例というのは、「結果的に知らず知らずのうちにやっていた」というものはあったとしても、「意識的、かつ、仕組みとして効果的でない事例を見つけ、改善した」という事例は、まず見当たらない。


では、なぜ「業務プロセスが効果的でない」をきっかけにしたマネジメントシステムの改善事例が無いのか、と考えてみると、多くの人にとって、そもそも『仕事の目的が明確になっていない』のではないかと思う。

実際、「結果的に知らず知らずのうちに業務プロセスが計画通りに進捗しておらず効果的でないので改善しました」という事例は、例えば、

◇「月間の仕入価格の総額が予定していた価格を大幅に上回ってしまいました」

とか

◇「顧客納期を考慮して生産計画したが社内で決めた完成予定日を今週は約2割の製品がすでにオーバーしている」

とか

◇「自社で決めている不良率(あるいは歩留まり)を超えてしまった」

といったケースの発生で改善事例を確認することができる。


つまり、製品やサービスに直接影響が出てきそうな業務は、「業務プロセスが効果的でないと判断する監視測定基準」を「なんとなく」を含めて決めているのだ。

しかし、教育訓練だとか、社員採用だとか、人事評価だとか、職員向けの周知徹底事項だとか、福利厚生などについては、滅多に「業務プロセスが効果的でない」と判断して改善を実施した事例を確認することはまずできない。

おそらく、この『原因』は、「各仕事の目的が明確に意識されていないため業務プロセスが効果的か否か」を評価することができないのであろう。


たとえば、「インフルエンザが流行っているので、社員に手洗いとうがいの実施を励行してください」というお知らせを「各職員のメールアドレスにメールで周知した」というケースで考えてみたい。

このケースの場合、業務担当者の「認識」としては、

「インフルエンザが流行っている⇒職員に注意を喚起しよう⇒メールで手洗いやうがいを連絡しよう⇒メール発信&メールの開封確認実施」=以上業務(任務)終了!!であろう。


しかし、「プロセスが効果的か否か」をとことん考えるのであれば、このケースの場合のそもそもの目的である「インフルエンザによる病欠を減らしたい」であるから「計画し実施した職員への周知方法によってインフルエンザによる病欠が、たとえば、前年度より何%減少した」というような「監視基準」を設定しておく必要がある。

ただ、実際には、そこまで考えていない。


「表彰制度を新規に設けました」というケースがあったとする。

この場合、その意義をお聞きすると「みんなに認められる社員を表彰してあげたい」とか「社員の仕事に対するモチベーションを向上させたい」とおっしゃられる。

では、「みんなに認められる自社の社員像とはどんな人を指すのか」とか「社員全体の仕事の対するモチベーションが上がっている」ということはどのように捉え評価するのか、とお聞きすると、そこまでは滅多に考えていない。


したがって、これらの「仕事の成果は何か?」と聞くと「表彰制度を作り表彰を実施したこと」というように「業務の実行=成果」と考えてしまう。

こうなると「業務プロセスが効果的であったかどうか」という判断は、そもそも議論されることもなく「業務の実行を持って任務完了!(業務完結)」となってしまうため「マネジメントシステムの改善」など行われる訳がないのだ。


「生産計画の遅れ」や「利益率」「不良率」といった数字を管理している方は「業務プロセスが効果的か否か」を結果的には継続的に監視測定して、業務プロセスの改善につなげている。

しかし、「職員採用」だとか「人事評価」といったプロセスを担当している人は、「業務プロセスが効果的か否か」の判断指標を持っていないケースがある。

この場合、まずは「この仕事の目的は何か?」を今一度、明確にしなければ「業務プロセスの改善」は発生せず、発生されたとしても、「たまたま」や「思いつき」というケースだけであろう。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ268号より)



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