ある会社で「目標管理」の考え方や課題設定の仕方などについてアドバイスする機会があった。

とりあえず、各部門が設定し、進捗管理している現在の「目標」について拝見させていただいた。


すると、以下のような目標が計画されていた。

(注:達成度目標の数字は、(仮)で入れています)

◇生産部門:工程内不良 前年度の10%削減

◇設計部門:製品開発案件 3件以上/

◇生産管理部門:納期遅れ 2件以内/

◇営業部門:売上○万円以上/

◇検査部門:検査ミスゼロ

といった目標が設定されていた。

そして、この目標には、目標達成のための具体的手段とそのスケジュールや担当者も計画されており、月次で進捗状況を確認していた。


一見すると、目標の計画として特段の問題はない。

要は「達成度」「達成のための手段」等が計画されており、目標としての体裁は整っているからだ。

ただ、個人的には、真っ先に質問したかった部門が2つあった。

それは・・・・。


「営業部門」と「検査部門」である。

その理由は、

◇各部門の活動の成果が設定した達成度として評価できるのか?(営業部門)

◇「顕在化していない問題」に対する課題をどのように考えたのか?(検査部門)

という疑問を感じたからだ。


まず、営業部門についてである。

この会社は設備メーカーであり、最終的なクライアントは、ゼネコンが多い。

したがって、「売上」に関しては、「継続的改善」といった「マネジメントの成果」というよりも「たまたま売上が伸びた」というケースが多いのだ。

つまりは、「大型の公共工事が発生する」→「ゼネコンが受注する」→「棚ボタ式に受注金額が増える」という図式なのだ。

したがって、例えば「営業提案力向上」や「顧客満足向上」といった活動の成果がかならずしも「売上増」ということにはならないのだ。

つまり、「達成度指標として適切でない」可能性がある。


そして、検査部門である。

お聞きすると、製品の最終検査を担う「検査部門」で「検査ミスによるクレーム発生」は、前年度は「0(ゼロ)件」なのだという。

そして、今年の目標も「0(ゼロ)件の維持」なのだという。

実は、このようなケースは「目標設定」に工夫を要するのだ。


例えば、生産部門のように「工程内不良件数 前年度の10%減」というような目標であれば、セオリーとして、「発生した不良内容の分類」→「不良件数の多い不良内容の明確化」→「10%削減のために取り組む課題の設定」というように「工程内不良を10%減少させる具体的手段」を計画しやすいのだ。


しかし、「検査ミスゼロ」のように「検査ミスが発生していない」場合は、『顕在化している問題点』がないので「検査ミスゼロを継続するための新たな課題(目標)設定」が難しいのだ。


もし、この「検査ミスゼロ」というテーマを「目標」にするのであれば、どうすればよいのか?

それは「検査ミスが発生するリスクを想定して、その想定したリスクに対する取組み」を明確にするのが良い。


話しは飛ぶが、例えば、前年度「病欠ゼロ」の人が、欲年度の目標を「病欠ゼロ」にするとする。

その場合、おそらく、「健康診断のデータ」が「リスクの想定」になる。

仮に、健康診断で「血圧が高めですね」、「抵抗力が弱っていますね」と診断されれば、

◇血圧が高い→不規則、アンバランスな食生活による体調悪化

◇抵抗力が弱い→気温など環境の変化による体調悪化

が「リスク」として想定できるだろう。


このようにリスクが想定できれば、「病欠ゼロを維持するための具体的な重点施策」も計画できる。

したがって、目標を設定する場合は、

◇改善活動した成果が設定した目標により測定可能か?

◇顕在化していない問題を目標として設定する場合、リスクを想定して計画しているか?

が目標管理の計画を作成する上でのポイントとなるのである。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ265号より)


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