少しでも「生産管理」を勉強したことがある人なら「常識」ともいえる手法がある。
それは「カンバン方式」。
「カンバン方式」とは、開発したのが、大野耐一氏というトヨタ自動車の元副社長を務めた方。
このカンバン方式により、生産現場では、「連続する工程間の仕掛在庫を最少」に管理することができるようになり、「必要な時に必要な部品を」の「ジャスト・イン・タイム(JIT)」が可能になったのだ。
具体的な方法としては、
◇後工程は、必要な部品数を前工程にカンバン(生産指示票)で発注する
◇前工程は、カンバンを発注書として受け取る
◇前工程は、カンバンをもとに、部品を加工する
◇加工後、加工された部品はカンバンとともに後工程に渡される
◇後工程に戻されたカンバンは納品書の役割を果たす
◇後工程は受け取った加工部品を使い切ったら、そのカンバンを前工程に戻す
◇カンバンが戻ってきた前工程は、再び次の部品を加工する
というやり方である。
今さらであるが、「ジャスト・イン・タイム」による「仕掛在庫の最小化」は、「究極のハッセンブリ(アッシー)産業」とも言える自動車メーカーにとっては画期的である。
(※アッセンブリ(アッシー)とは、単一の部品ではなく、いくつかの部品が既に組み合わされている状態の部品)
なぜならば、部品点数が数万点にも及ぶ「自動車メーカー」において、ムダな仕掛在庫が増えれば、
◇在庫スペースの無駄
◇不良在庫の発生リスク
◇資産管理上の無駄
などが半端ない。
したがって、「自動車メーカーの目線」でいえば、『カンバン方式』は、「在庫部品を必要数量以上持たない」ということになり、生産管理面でも、資産管理面でも「メリット」は絶大なるものになる。
また、「不良在庫」が理論上、発生しないことになり、つまり「廃棄ロス」がないので「環境面」においても「とても素晴らしい管理手法」と言えるのだ。
私が「業務改善コンサルタント」として、大手コンサルティングファームで「新米コンサルタント」だった時代は、「カンバン方式」をそんな風に「いいことだらけの手法」として学び捉えていた。
しかし、クライアント先の中心が、メーカーの3次、4次といった下請の中小零細企業になると「カンバン方式」は、「メーカー側の論理だよなぁ」と、遅まきながら感じることとなった。
自動車の例で具体的には、「材料手配から自動車完成品まで」という「自動車産業全体」で考えた場合の「環境問題」である。
カンバン方式は、大雑把にいえば、「自動車という最終製品を組み上げるメーカー」が「これだけの商品を作っている最中だから、必要数となるこれだけを今すぐ作って持ってきてよ」という話である。
しかし、この方式で注文を受ける方はたまったもんではない。
メーカーは「部品ストック」を限りなく抱えないように、納期を細かく切って少量発注する。
当然、下流の下請けに行けばいくほど、「部品供給遅れをすることができない」という強迫観念に追い込まれるから、材料手配やストック部品の生産量などに余裕を持たせて生産することになる。
「余裕を持たせて」といえば聞こえはいいが、逆にいえば「ロスの発生リスク」が増えるわけで、イコール「環境にやさしくない」と言うことになる。
つまり、カンバン方式によるジャスト・イン・タイムが過度になると、少量生産、少量物流になり、生産設備の稼働効率が悪くなり、トラックなどの運行が増え、最終的には「CO2増加につながる」といった環境問題にもなるのだ。
「カンバン方式」を例にしましたが、このように「画期的」といわれる生産管理方式も、立場を変えて考えれば「ムダが発生しやすいリスクある方式」と捉えることができるのである。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ326号より)
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