2014813日付の読売新聞(電子版)によると、

「鉄人28号の人形を万引きされた「まんだらけ」が、万引きしたとされる男のモザイク付写真をウェブサイトに公開する」

と予告していた方針を中止したことを報じていました。


記事によると、

◇万引きの被害届を受けた警視庁中野署が「捜査に支障が出る恐れがある」として写真を公開しないよう申し入れていた

◇まんだらけは、警察の捜査に協力するなどの理由で公開をやめた

◇まんだらけのHPでは、警告文と盗まれた鉄人28号の人形の写真、そして防犯カメラに映った男の写真が、顔にモザイクをかけた状態で公開されていた

◇人形の店頭販売価格は25万円

◇法律の専門家からは「顔写真を公開すると男を脅すことは、脅迫罪に該当する可能性がある」「名誉毀損にあたる」といった指摘も出ていた

◇13日未明に更新されたHPでは、犯人の身内らしき人物からまんだらけに電話があったものの、人形が返還されていないことを明らかにした

だという。


まんだらけの「防犯カメラに映った写真を公開する」というセンセーショナルな発表でマスメディアが大々的に報じることとなり、仮に、万引き商品を返却するにしても、「単なる窃盗事件」より犯人は社会的な制裁を受けることになっただろう。

したがって、万引き犯が悔い改めていたとしても、マスメディアの報道が収まってからでなければ、犯人も動きようがなくなってしまったといえるでしょう。


「盗んだ奴がすべて悪い」では、確かに、「犯人にも守られるべき人権がある」という観点から、顔写真の公開は、「過剰防衛」としてまんだらけは問われ、名誉棄損罪などに逆提訴されたかもしれない。


ただ、ネットの声をいろいろ除いていくと「警察の意向で顔写真が公開されなかったのは残念」とか「顔写真を公開されたくなかったら万引きをしなければよいだけのこと」といった意見が多いのには少々、個人的には驚きました。

この理屈では、「悪いことをした人はリンチにあわされても、殺されても仕方がない」という話になってしまうわでけ、それは、どう考えてもおかしい。

法治国家なわけだから、生々粛々と、法律に従って、裁きを受ければいいだけのことで、それ以上の不利益を犯人に求めるのは、間違っている。


「万引き事件の犯人公開」という話題は、確か、10数年前にも、町の小さな本屋さんで、万引き事件が多発することに業を煮やした店主が、店頭に写真か名前を公表するということになり、ワイドショーで盛んに議論になったことが思い出される。

確かに、利幅の少ない本屋さんの儲けの仕組みからすれば、本屋さんにとって万引き被害は死活問題ではあるが、やりすぎである。


特に、今回の場合、上場企業の「まんだらけ」の対応予告だったため、マスメディアが大きく報じることとなったために、影響力は大きい。

仮に、警察の意向を無視して公開した場合、コンプライアンスを重視する上場企業としてはダメージが大きい。


今回の件を通じて、「ちょっと怖いな」と感じたのは、世間の反応が「悪いことをした人が、それがもとで社会的制裁を受けるのは自業自得である」的思想である。

なんだか、「いじめられるやつが悪い」的発想でに、感覚的には酷似しているような気がしてならない。



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