ISOマネジメントシステム監査のお話です。

ある企業の経営者さんが、

『最近、よく「貴社のISO10年前のままじゃないですか?」というチラシ(FAX広告)が入ってくるんです』

という。


この手の話は、他社でもよく耳にする話で、審査登録機関(認証機関)はもちろん、コンサルティング会社や研修機関がこうした内容の広告をISO登録企業に配っているらしいです。


ISOマネジメントシステム認証」をご存じない方のためにざっくりと説明すると、

◇マネジメントシステム規格で決められたことに適合している

◇作成した方針及び目標を一貫して達成できる

◇有効に実施されている(期待される結果が実現されている)

といったことを認証機関は審査し、適合している会社に対して「登録証」を発行する制度です。


審査では、対象企業の経営者インタビューを含め、マネジメントシステムに関連する管理手順とその実施記録や実際の現場をサンプリングで調査し、組織の活動を管理する仕組みが適切に構築され、それが機能しているかを確認するのです。


こうしてISO認証企業として登録された会社は、その会社と取引をしたい企業にとって「リスクマネジメントを含めた経営管理体制が整っていて、機能する体制にあること」を担保するひとつの目安となるので、発注先選定の基準となるのです。


このISO認証制度は、ヨーロッパにおいては1980年代後半、日本においては1993年に認証機関を認定する認定機関(経産省等所管の財団法人)が誕生した頃から取得する企業が活発になった制度ですが、「経営を管理するルールが国家規格」として定められているので、「行政手続き書類」のように「文書や記録を形式的に整えて、実態業務と乖離したルールを社内ルールとして規定し、運用する企業」が制度開始当初は多かったのです。


そのため、ISOマネジメントシステムを導入すると、

◇実態と異なる社内ルールになり仕事がやりづらい

◇不必要な文書や記録ばかり作らされて、本来業務が停滞する

◇審査員やコンサルタントに振りまわされて、会社が混乱する

といった「導入によるマイナス面」が世の中の「ISO認証制度」に対するイメージの大勢となってしまったのです。


本来は「信頼できる優れた企業のビジネスモデル」を「ISOマネジメントシステム規格」として「国家&国際規格化」しているだけなので、うまく制度を利用すれば「会社は効率的に業務運営され、儲かる体制」になるはずです。

しかし、「実態と違うルール作りをした企業が悪い」のか、「指導したコンサルタントが悪い」のか、「企業を審査する認証機関や審査員が悪い」のか、「認証制度そのものの運営管理の仕方が悪い」のか、の議論は棚上げしますが、多くの企業では「形式的なISO」となって、うまく活用されていないのが現状です。


その反動で、冒頭にあるような「貴社のISO10年前のままじゃないですか?」という宣伝文句が登場しているのでしょう。

実際、ここ10年のISOマネジメントシステムに関する審査も経営指導も、かなり変わってきて「どうしたら企業が規格を形骸化させずに用いることができるのか」を認証機関やコンサルタントは工夫している。


具体的に、よくある工夫が「規格の文言に忠実に縛られない社内ルールの制定」や「規格自体を無理に覚えさせない」といった審査や指導である。

日常生活に例えれば、「野球をしたことのない人に、野球のルールブックを丸暗記させる」ことから始めるのではなく「キャッチボールやトスバッティングなど遊びを通じて、ルールを自然に身につけさせていく」やり方である。

この方法だと、企業もその従業員も「ISOアレルギー」を起こしにくい。

「仕事の中で必要なこと、やるべき事をやっていれば、結果的にISOマネジメントシステムを運用していることになるのだ」という審査や指導は精神的に楽である。


しかし、冒頭の企業経営者さんが、「いまの流行りのスタイルは従業員にとってはプレッシャーを感じなくていいのだが、取引先には相手にされない」というのだ。

具体的には、ISO認証を要求している発注者先に不具合品を納入してしまい、製造と品質保証の責任者が発注先を訪問したところ「話が通じないから他の責任者をよこしてくれ」と言われたそうである。


つまり、発注者からすれば、「ISO登録企業なんだから、不具合が発生した時に必要な報告事項は、いちいち指示しなくてもわかるだろう」という想いがあったらしいが、訪問した責任者は「言い訳と謝罪ばかりで原因究明も是正対策や水平展開といった対策案が提示しなかった」ために「話が通じる人をよこせ」となったのだろう。

確かに、「マージャンルールを知っているのは当然」と思っていた人が「マージャンのルールを知らなかったら、いちいちルールを教えていたら仕事にならない」のは当然で「ルールを知っている人をよこせ」となるのはあたり前である。


20年前のISOマネジメントシステムの導入・運用には、確かに問題があったけど、いまの流れは、「ISOアレルギー」を排除するためには、いい方法論なのだ。

けれども、「ISOマネジメントシステムを信頼あり、かつ、管理しやすい購買先(協力業者や委託先)を選定するためのツールとしての審査、指導になっているのかと言えば、疑問符が付く部分があると言えるのだろう。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ362号より)


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