今の時代、何の業種でもコストダウン活動が激しい。

例えば、自治体が、市が運営していた現業部門(例:図書館や町営バスなど)について、指定管理者制度などを使ってどんどん外部の企業に仕事を委託して、従来の価格より現業部門の人件費を含めた大幅なコストダウンを実現している。


ただ、こうした「外部組織への委託」が増えると、価格以外のエンドユーザーの満足度は低下するのではないかと思う。


先日、ある資料が届いていないことに気づいた。

事務局に連絡して、状況を確認すると、どうやら、「届け先の受け取り確認必須」の方式で郵送されたようで、わたしが出張で留守にしている間に、郵便局の保管期限が過ぎて発送元に戻ってしまったらしい。


このことは「想定外」だった。

というのも、資料は、「届け先の受け取り確認不要」な方式で送られると思っていたので、出張で留守にしても、「ポストに資料は届けられているだろう」、と想定していたからだ。


そのため、事務局には「受け取り確認が不要な形式で再発送して欲しい」と注文した。

すると「ゆうメールで送付しており、配達地域によって、ポストに入れてくる地区(受け取り確認不要)と受け取り確認が必要な地域があるようだ」という。


わたしは、「単に再発送されても、また留守の間に届けられたら、受け取れないかもしれない。郵政事業会社に“受け取り確認は不要だからポストに資料を入れてくること”を指示して欲しい」と言ってみた。

すると、担当者は、「わたし達は“ゆうメールで発送しなさい”と指示されており、それ以上のことはできない」という。

わたしは、「いや、あなたの立場でいえば、そうかもしれないが、単に再発送されても、再発防止になっていないんじゃないか。郵政事業会社に“受け取り確認は不要”と発送指示をすればよいだけではないのか。指示が無理であれば、ふつう郵便で送ってもらってもいい」と食い下がったが「指示されたこと以外はできない」の一点張り。


おそらく、この問い合わせをした事務局は、資料の発送元から「発送代行を委託されている事務局」なのだろう。

たぶん、これ以上やり取りをしていても、堂々巡りになるので、「よろしくお願いします」と伝えて、わたしは電話を切った。

このように、業務を外部委託すると、委託された組織は、「発注者を意識した目線」でものごとを捉える。

これは、ある意味、あたり前である。

委託先にとって、発注者から対価を得ており、発注者の指示は絶対である。

別のいい方をすれば、エンドユーザー(お届け先)の声を発注者に伝えることは面倒であり、仕様書にしたがった仕事さえしていた方が、責任上も楽である。

だから、エンドユーザー目線でものごとを捉えない。


これが、組織内部であれば、エンドユーザーからの要望や意見は、組織に対するエンドユーザーからの信頼確保という点で、受付し、改善に動く可能性が高い。

やはり、エンドユーザーが困っていれば、「なんとかしたい」と考える可能性が高いだろうけれど、委託してしまうと、委託先にとって、大事なのは「発注者先からの指示を守ることであり、かつ、今後の委託業務を継続すること」であり、「エンドユーザーからの声を発注先に上げ、エンドユーザー目線で改善提案すること」は面倒なことなのだ。


こうした委託における構造を発注者がわかっていると、「エンドユーザーからの声をちゃんと受付して記録し、可能な限りエンドユーザー目線で対応せよ」と指示するはずであるが、たいていは「外に業務を丸投げして終了」である。


業務委託でコストダウンを図ることは、重要なマネジメントではあるが、エンドユーザーとの距離が遠くなっていることを認識すること、そして、エンドユーザーの声を拾える仕組みを委託先に仕様書できちんと要求しなければ、業務の質自体は低下していってしまう。

単に「業務の外部委託をすること」で「コストが下がった」と喜ぶのは大間違いで、「エンドユーザーとの距離が遠くなっていること」を認識した委託業務先への業務管理をする必要があるのである。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ378号より)



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