保険会社の方に聞いたが、金融庁監査で、やたらとチェックを受ける項目のひとつに「苦情対応記録」があるという。

おそらく、78年前に社会的にも相当話題となった「保険金の不払い問題発生」以降の金融庁の措置で、契約者の声を組織としてきちんと収集し、分析し、対応しているか?ということを監査の要チェックポイントとしているのだろう。


わたしも、マネジメント監査で「苦情等、外部からの声はどのように記録されていますか?」といった質問をすることが多い。

やはり、その会社と継続的に取引をすることを考えたら、第二者的な顧客の立場ではもちろん、第三者的にも「外部からの声をしっかり記録する仕組みが無い会社」は安心感や信頼感が無さ過ぎる、と思う。


実際、わたしたちが仕事においても、プライベートにおいても、苦情はもちろん、要望や問い合わせをするといううことは、「次も利用したい」という気持ちの表れであり、「次に利用する時には少しでも変わっていて欲しい」という期待がある。


ちなみに、わたしが人間ドックを受診するクリニックには、10年以上お世話になっている。

継続受診の理由は「過去のデータが蓄積されているので、わたしのからだの特性を把握し、適切な所見をしてくれる」という期待ももちろんあるが、その他の「安心感、信頼感」として、「常に翌年には人間ドックの運営になんらかの改善」があるので、それを楽しみに「継続受診」している。


マネジメント監査の話に戻すと、冒頭に挙げた「保険会社」のような、「営業担当者が見積、契約、保険対応、保険の適用」と「ひとりでほぼすべて完結」する業態は、「外部からの声が業界特性として」あまり、収集されていない。

明らかな「苦情」は、金融監督庁の監査方針もあり徹底されてきていると思うが、苦情に近い要望や問い合わせは、「営業担当者が頭の中で受け付けて処理」しているので、記録として蓄積されておらず、当然、組織の知見として積み上がっていない。


先日、従業員が60人弱のある企業にマネジメント監査で訪問した。

しかし、というか、やはり「苦情等外部から受け付けた情報」の記録はまったくなかった。

経営者にインタビューしてわかったのだが、この会社は典型的な「文鎮型組織」(経営者以外は(役職という肩書はあるが)従業員)で、「苦情や要望、問い合わせ」といったお客さまからの情報は、すべて「社長に聞いてください」と「情報が社員から社長に右から左に流れ、すべて社長が判断し指示している」のだ。


この方式ならば、現時点においては、「超属人的な業務のやり方」ではあるが、苦情等の処理対応は、「全て経営者が実施しているため、その判断は均一化」していると言っていい。

しかし、社長が元気なうちはいいが、社長がいなければ、苦情等外部情報に対する判断は、ばらつく。

それは、イコール、会社の安心感や信頼感を損ねることにつながる。


社長曰く「社員は自分が責任を負いたくないから俺(社長)に全て振ってくる、このマインドを本来、変えないとダメなんだが、そういう教育をしてこなかったから、いまだに、「社長に聞いてください」となっている」という。

このケースは「社長がルールブック」となっている社内文化が醸成されすぎていて、なかなか一朝一夕には解決しない問題である。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ390号より)



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