ワールドカップグループリーグ2戦目のギリシャ戦を想定して世界ランキング130位のキプロスとの親善試合は1-0で日本が勝利した。

終始日本が試合をリードしており、特別ルールの選手交代枠6人をフルで利用し、見せ場も多かったが、結果的に日本が獲得した得点は「1」。

グループリーグは、激戦であり、勝ち点が並んだ場合の得失点差での決勝トーナメント進出になった場合を考えると「大丈夫か?」と思う。


旬のフル代表のワールドカップの話題ではないし、サッカーに興味がなく、ルールさえ知らない人にとっては、わかり難い話かもしれないが、201310月にUAEで開催されていた「U-17ワールドカップ」で日本代表を率いた吉武博文監督の「チーム作り」に対する考え方が面白かったので紹介したい。


吉武監督は、理想のサッカーの試合を

90分ボールを回し続け、ロスタイムに1点を取って、1-0で勝つ」

と語っているという。


つまり、その理想の試合をするためのチームコンセプトは、賛否はともかく、

CB(センターバック)以外は8人のボランチを並べる

◇徹底してポゼッション(ボール支配率)にこだわる

◇シュート数は少なくする(シュートはボールを失う行為だから)

なのだという。


また、日本の弱点を、

「体格に劣ること」

と考えている。

そのための対策的コンセプトが、

「競り合いで勝てないなら、競り合いになる機会を限界まで削ってしまえばいい」

という哲学なのだ。


あたり前だが、「競り合い」とは、「ボールが完全に支配できていない時」に生じるのである。

例えば、コーナーキック。

コーナーキックは、センターリングで、バイタルエリア(ペナルティーエリアの中でゴール幅と同じ幅のエリアの事)付近にボールを上げて、ヘディングやボレーでゴールを狙うチャンスである。


しかし、一般的には「高さを武器に競り合う」ことになる。

つまり、この場合、「競り合う=高さで張り合う」なので、一般的には、体格に劣る日本人は勝てない。

そこで、コーナーキックでは、センターリングを上げて競り合う一般的な戦術は捨て、「ショートコーナー」を使って、パスで相手布陣を攻めるのである。


また、「競り合いに負ける=ボールを奪われる」なので、「ボールを奪われない」ことを重視して、パスでボールを動かすプレーを重要視している。

つまり、「ボールを失うプレーを厳しく規制する」ため、ドリブラーなど強引な個人技に優れた選手を代表チームに召集しなかったという。


そして、もうひとつの吉武監督の特徴が、

「複数のポジションを担当できない選手は招集しない」

である。

基本的に、「ボールを奪われないパスで動かすサッカー」を基本にしているから、「スター選手」はいらず、「選手のポジションを試合の中でもローテーションさせていく」という方式である。


これらをビジネスで考えると、

◇自社の特徴(メリットとデメリット)を見極める

◇自社の特徴をつかんだ上での「理想の経営」を明確にする

◇「理想の仕事」を実現するためのコンセプトを決める

◇コンセプトを遂行するための方法(戦略)を明確にして実行する

といった流れになる。


よく企業経営者と話していると、「自社の特徴」を把握せずに「理想の会社像や経営」を語る人がいる。

大企業や人気職業であれば、その「経営者の理想」を満たす人材を集めることは比較的容易である。

しかし、多くの中小企業では、それは困難である。

そうなると、自社の弱点を含めた特徴を考慮した上での「理想の経営」を明確にして、「それを実現するための方法論」を計画していくのが王道なのである。


上記の例は、サッカーU-17代表監督の吉武監督の例であるが、吉武監督の思考を「置換力」を発揮・駆使して、捉えなおすと、気づきが生まれるのである。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ360号より(一部加筆))



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