2014428日発売号の週刊誌「AERA」で「ゆるさが決めて 新・伝える力」と題した記事が掲載されていました。


記事によると、

『モレなく、ダブリなくの取り付く島もない完全無欠のプレゼンは、相手を圧倒しているだけで、心には残らないかも。論理より環状で伝えては』

とある。

そして、アップルのスティーブ・ジョブズ氏のプレゼンの例を上げていました。


ジョブズ氏がある大学の卒業式で話したプレゼンは、苦労の連続だった身の上から始まり、最後は、自らがガンに侵されていることまで話し、最後に「ハングリーであれ、愚か者であれ」というメッセージで締めくくったという。

この卒業式でのジョブズ氏のプレゼンは「卒業生が感動し心に響いた」わけであるが、プレゼンの中でジョブズ氏は「ハングリーであることや愚か者であることの科学的根拠やメリット」を語ったわけではない。

しかし、感情的に「人生物語」を伝えたことで、説得力を増したのだ。


ビジネスのプレゼンといえば、わたしも「伝え方」について商売にしているぐらいであるが(笑)、「ロジカルであること」に振れ過ぎた時期があった。

しかし、見事なまでの論理展開は、説得力はあっても共感を生みづらい。

記事では「説得力だけでなく、相手に考えや思いを巡らす“ゆるさ”」が誰かを動かすためには必要だという。


これは、確かにその通りである。

もちろん、人にはいろいろな性格やタイプがあるから、論理矛盾しない説得力だけで「相手によく伝わり共感」を生むケースもある。

具体的には、先日、STAP細胞に関するネイチャー誌に掲載された論文をめぐって、筆頭著者の小保方晴子ユニットリーダーの上司である理化学研究所発生・再生科学研究センター副センター長の笹井芳樹氏の記者会見がある。


この笹井氏の記者会見は、超エリート科学者だけあって、突っ込みどころ満載の小保方さんの記者会見と違って、研究の段階説明(着想、実験、解析、論文)や自らの役割、そして論文に誤り(結果として不正)が生じた経緯の説明は、ビジネスプレゼンを聞いているようで、聞き手にとって、わかりやすく、筋道も非常によく立っていた。

つまり「説得力に富んでおり、納得」するのだ。


事実、笹井さんの記者会見の後、ものごとをよりロジカルに捉え、そうした説明の仕方を好む理系の科学者たちは、概ね説明に納得していた。

しかし、大多数を占める一般人は、笹井さんの説明はわかりやす過ぎて、逆に「組織と自分を守り、部下である小保方さんを切り捨てた感」を感じてしまい、笹井さんの会見後は「小保方さん擁護派」が極端に増えた。

これは、論理的には非の打ちどころが無くても、感情的には、「そりゃないだろ」と多くの人は捉えるからである。


人に伝えるというのは、結論的には「臨機応変さ」が求められると思う。

つまり、聞き手の対象者の属性やシチュエーションによるのだ。

ただ、人に伝えることの基本は、まずは、「筋道を立てた論理的な組立」を基本に、その場の空気や場によって、若干の説明不足やつじつまの不整合よりも「感情に訴える」部分があった方が「共感や感動」を生みやすいのである。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ382号より)



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