知り合いがフェイスブック(FB)で「メディアの報道姿勢」について、次のように呟いていました。


(以下、引用)

『仮にメディアも騙されたとしても、真贋を見極めずに誤った情報を広めたことに責任はないのか?
メディアの役目に真贋を見極めることは入っていないのか?
必要以上に持ち上げておいてあるときからは被害者面をして徹底的に叩き出す。
そんなメディアの姿を見るとメディア人の卑しさを思い知る。』

(引用、ここまで)


知り合いの過去のFBに投稿された発言から、おそらく「ゴーストライター問題」で世間をにぎわしている「全聾のベートーベン」こと佐村河内守氏に対する報道のことを指しているのだろう。


個人的には、知り合いのこの「つぶやき的発言」には、激しく同意である。

佐村河内氏のゴーストライターだったことを新垣隆氏が告白した後に発売されたアエラ(朝日新聞)では、「当社では過去に佐村河内氏を取材した時に、聴覚障害者ということについて疑念が残ったため記事にしなかった」(例:取材中、物音に反応するなど)と誇らしげに書いていた。

つまり、うちは「怪しいから記事にしなかった、NHKをはじめ、他のマスメディアと違ってすごいでしょ」と言いたいのかもしれない。


しかし、マスメディアの役目は、わたしたち一般人に「真贋を確かめ報道する」役目も担っているはずだ。

つまり「取材中にホントにこの人聴覚障害者なの??」と疑念が湧いたのであれば、関係者に裏取りの取材をするなど「聴覚障害の真贋を検証する取材」をするべきなのだ。

「うちは記事にしなかったよ」と誇らしげに報じていること自体が、「恥ずかしく、あの時点で、もっと追っかけるべきだった」となぜ、反省しないのか、疑問である。


話は少し逸れるが、今回の問題で、「佐村河内氏の何がいけなかったのだろう」とあらためて、振り返ると、法的には「もしかしたら全聾認定を受ける時点で耳が聞こえないふりをしていた」としたら、障害者として日常生活で受ける利益(例:公的な扶助や交通機関の割引など)を不当に得ていたことになる。


また、人道的活動義的な観点では、義手のバイオリニストのみっくんの義手をコンサート会場で外させたことや東日本大震災の津波で母親を亡くした石巻の10歳の女の子のために書いた「ピアノのためのレクイエム」などに対する逸話が問題である。


しかし、「好きか嫌いか」の感情面を抜きに客観的に捉えると、

◇映画音楽やゲーム音楽の作曲依頼を受けるセルフプロデュース力があった

◇アメリカの「TIME」誌に取材されるなどメディアへの売り込みがうまかった

◇ストーリー性のある自己演出をして世間の注目を浴びる力があった

と「まったく無名な自分を世間に売り出す力」は、「半端じゃなくあった」わけで、そういう点ではすごい人である。


ゴーストライター問題についても、新垣氏との合意に基づいて「契約関係」が成立しており、著作権者の確定がされている以上、印税収入は佐村河内氏が不当に得たものではない。


したがって、「佐村河内氏の何がバッシングされるべき事」かと言えば、可能性としては、

◇障害者手帳の不正取得

◇義手のバイオリニストや震災で母を亡くした子供など当事者の気持ちを傷つけた

ことぐらいである。


「ゴーストライター問題」は、「新垣氏との合意に基づいて金銭授受を伴う契約関係」が成立していたのだから、感情論を抜きにすれば、問題を問われる話ではないし、まして、詐欺罪にもあたらない。


ネットでの情報だと、ゲーム音楽を制作していた「カプコン」では「佐村河内氏の全聾は演出上の措置であること」は社内的には周知の事実だったという。

つまり、マスメディアは「現代のベートーベン」という「TIME」誌の記事に乗っかって、報道していただけで、その真贋を検証しようと裏取り取材を重ねれば、「事実」はもっと早期に世間の人は知ることができたのだ。


それにしても、テレビや新聞、雑誌などマスメディアは、「マスメディアとしての矜持」がないのかと思う。

「新垣氏の告白」以降、世間の感情論をあおるようなバッシング報道を繰り返しているが、その前に、自らの社会的存在意義や役割を果たしていなかったことをもっと認識し、反省すべきなのである。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ376号より)


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