2014年2月14日付の日刊スポーツによると、
『ゴーストライター問題の渦中にある作曲家「佐村河内守氏」が、これまでに得た著作権料の返還を逃れる方向であることがわかった』
という。
記事によると、
◇佐村河内氏の名義で2011年7月20日にリリースされた「交響曲第1番 HIROSHIMA」は、クラシックでは異例の18万枚の出荷がある
◇同作の売り上げやコンサート使用料などで既に数千万円を得たと推定
◇他に映画音楽、ゲーム音楽なども多数手掛けたことになっており、総収入は1億円超とみられる
◇新垣氏は18年間で20曲以上を代作し、約700万円を得たことを明かしている
◇桐朋学園大非常勤講師の新垣隆氏が、18年間にわたって佐村河内氏のゴーストライトをしていたことを発表し、佐村河内氏もそれを認めている
◇日本音楽著作権協会(JASRAC)広報担当者によると、(1)新垣氏と合意がある(2)18年の長期間にわたっていることを考慮し、「JASRACが過去にさかのぼって佐村河内氏に支払った著作権料の返還を求める可能性は低い」
という。
この記事を読んだ時に、「少し偏向報道だな」と思った。
JASRACの立場で言えば、楽曲が「誰かにより作製されていれば、著作権の名義を持つ人に著作権料を支払う」のは当然である。
例えれば、親が子供の名義で銀行預金をしていれば、実際にお金を積んでいるのは親であっても、その利子は、名義人である子供に支払われる。
今回の件も、それと同じで、実際には、新垣氏が「代作」していたとしても、新垣氏との合意のもとで「佐村河内氏名義で作品は発表」されていれば、著作権者は「佐村河内氏」であり、JASRAC的には「佐村河内氏」に支払わざるを得ない。
もちろん、佐村河内氏と新垣氏の間で「著作権保有者の変更」などの話し合いがあれば、今後の著作権料の支払先は変更になるかもしれない。
しかし、新垣氏が「これまでの佐村河内氏との関係を清算したい」という目的のみで「告白」したとするならば、これまでの佐村河内氏名義の作品の著作権料は、今後も佐村河内氏に支払われるべきものであろう。
佐村河内氏にまつわる問題は、彼の人間性やクラシック界デビュー戦略の賛否を除き、ビジネスライクに考えれば、「ゴーストライター問題」は「世間の人々に糾弾されるべきもの」と個人的には感じない。
アイドルタレントの書籍の多くが「ゴーストライターがいる」と言われているし、清純派タレントをウリにしている人が、私生活では「大酒飲みでヘビースモーカー」だったとしても、「清純派タレントとしてのイメージ戦略上、キャラクターを作っている」と考えれば、ファンはがっかりするかもしれないが、ビジネス的に、他人からとやかく言われる話ではない。
したがって、佐村河内氏の場合も、「被爆2世」「全聾の作曲家」というストーリー性を売り出し戦略にしたのは、その方法論が好きか嫌いかは別にして、責めを負うものではないし、ましてや、ゴーストライターの新垣氏と明確な(口約束で契約文書はないかもしれないが)取り決めをして、結果として「二人三脚」で18年間もそれぞれの役割を演じてきたのだから、著作権に関しても、「JASRACへの返還の必要性」問題が起きる(報道される)こと自体がおかしいと思う。
「被爆や全聾をウリにしたビジネス戦略」の道義的な賛否や「佐村河内氏の人間性やキャラクター」の好き嫌いは別にして、法律的に、佐村河内氏の件で「問題」となりそうなのは「全聾(障害があること)を偽装して障害者手帳を取得していた」とすれば、その点のみである。
この「ゴーストライター」問題が発覚して以来、「佐村河内氏=悪」とした見方の報道ばかりであるが、本質的な問題点をきちんと捉えて理解しなければ、マスメディアが垂れ流す報道に「扇動」されてしまうのである。
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