ソチ五輪は開会式から3日経つが、日本は、なかなかメダルがとれない。
開幕前は「メダル獲得数は史上最多の長野五輪を超えるかも」と言われていましたが、スノーボードスロープスタイルの角野友基選手、スキーモーグルの上村愛子選手など女子総勢4選手、男子の西伸幸選手、遠藤尚選手、そして、スピードスケート男子500mの長島圭一郎選手、加藤条治選手とメダルを期待された選手たちが、ここまでのところ、メダルを逃している。
スピードスケートやショートトラックに代表されるように、「速さ」や「ゴール順位」で競う種目は、そのスポーツの中継放送があっても、ふだん、あまり見ることのない「にわか応援団」にとっては、勝敗がわかりやすい。
しかし、スノーボードのスロープスタイルやこれから始まるハーフパイプ、モーグルなど「採点競技」は、「にわか応援団」には、なかなか勝敗がわかり難いなぁ、と思う。
素人の私たちは「専門家が採点しているのだから間違いないだろう」とたいていの場合は考えるが、素人目に選手と選手を比較して「えっ、なんでこの選手の方が得点が低いの?」と思えるシーンだと「恣意的な得点操作があるんじゃないだろうか」なんて思う。
今までのところ、一番、ネットでも話題になったのが、上村愛子選手の決勝3の得点。
モーグルは、ターン点50%(15点満点)、エア点25%(7.5点満点)、スピード点25%(7.5点満点)で点数が決まる。
タイム点は、採点が生じないので公平だが、問題は「ターン」と「エア」である。
モーグルのテレビ解説を担当していた三浦豪太氏によれば、「ターン」の採点基準には、
1)フォールライン
スタートラインからゴールラインを垂直に結ぶライン(コース)を一直線に滑り降りること。
2)カービングターン
雪面コンタクトされたカービングターンを行うこと。
スキーにおけるターン技術の中で最も重要な要素。
3)コブの利用
ターンをスムーズに行うためにコブを利用すること。
4)吸収
雪面コンタクトしたカービングターンをするためにコブを吸収すること。
5)効果的な動作
斜面状況に合わせたカービングターンを行うための動作をすること。
6)姿勢
上体は常にフォールライン進行方向に向かっていること。
滑走中の上半身は、上下左右に揺れることなく安定した常体であること。
7)ストックワーク
ターンをするための補助としてバランスよく利用すること。
8)攻撃性
自身の限界に挑む積極性のこと。
9)コントロール
全ての動作を自身がコントロールして滑り降りること。
の9項目があり、各ジャッジが5点満点で採点し、5人の採点の上下がカットされて3人の合計点となる。
また「エア」の採点基準については、エア中のフォーム・着地・エアの高さ・距離などを元に、1回のエアを2.5点満点で「採点×難度点」を2人のジャッジが採点し、その平均の第1エアと第2エアの合計が得点となる。
しかし、ここからはシロウト目線ですが、ターンの採点項目は9項目あるが、各ジャッジの持ち点は5点、エアの場合は、難度点は明確であるが、エアのフォーム、着地、高さなどの項目の採点を2.5点満点でする。
つまり「採点項目は決まっているが定量的な各採点基準ではなく印象を中心とした定性的な採点」になるといえるだろう。
イメージ的には、昔の「技術点6点満点、芸術点6点満点」時代のフィギュアスケートのような素人目には不透明な採点基準なのだ。
「印象で採点が変わりやすい」現在の採点方法では、おそらく、ビッグネームの選手は、得点が出やすいだろう。
上村選手の場合は、3位になった前回バンクーバー五輪の女王ハナ・カーニー選手の名前があまりにも大きすぎて、決勝3では、カーニー選手のターンがあんなに乱れたのに、合計点では上村選手の上なのだ。
エアとスピードは、カーニー選手の方が確かに上回っているが、ターン点でも上村選手より上となると、「えっ?!」である。
同じように、男子モーグルのに西選手も、ターン点が驚くほど抑えられていた。
解説の三浦氏も「殆どミスない演技」と評していて、わたしたちシロウトもそう感じたが、ターンで板が暴れている選手より、明かに点数が低い。
決勝3では、優勝した前回バンクーバー覇者のビロドー選手は文句なしの演技であったが、2位と3位を比較すれば、3位のロシア選手の方が2位のカナダ選手より安定していたように見えた。
ちなみに2位の選手は、一昨年と昨シーズンのワールドカップ総合チャンピオンとビッグネームである。
角野選手が出場したスノーボードのスロープスタイルも素人目にはわかりにくかった。
手を着くなど一瞬でもタッチダウンがあると、ジャンプが見事に決まっても、極端に得点が抑えられることはわかり、「そういう競技なんだな」と理解してみていた。
しかし、体操競技の場合、例えば、「尻もちや落下、着地が一歩踏み出す」などで減点される点数が決まっていて、これらのミスは、メダル争いには「致命傷」となるが、決勝進出者を決める上での致命傷とは必ずならないが、スノーボードの場合は「1か0か」のような採点なので、(おそらく、モーグルと同じように定性的に採点される要素が大きいのだろう)このあたりも、テレビ視聴者には「えっ?!」である。
各競技の世界選手権やワールドカップなら、百歩譲って、その競技の世界の関係者(選手、コーチ、役員、元選手、など専門家)の中で納得が得られる採点方法なら、それでいい。
しかし、五輪の場合、にわか応援団やテレビ視聴者を含めてわかりやすくなければ「この競技ってなんか、素人にはわかりずらい世界の競技なんだな」と例え採点結果が正しかったとしても、不透明なものに映る。
タイム種目の「スピードスケート500m」でさえ、五輪(と世界スプリント選手権)では「インとアウトスタートの有利不利を選手はもちろん観客(にわか応援団)に感じさせないよう「2回の合計」で競うように工夫しているのだ。
スキーのジャンプも、風向きやゲート位置による要素を公平にするため、わたしたちが知っている「距離点プラス飛型点」に加えて、ウインドとゲートファクターが加味されるようになっている。
モーグルやスノーボード(スロープスタイルやハーフパイプ)は、まだ新しい競技であるが、採点基準について、一般人にも分かりやすいように改良・改善しなければ、選手本人はもちろん、4年間選手を応援した関係者もうちら一般視聴者も「なんか納得しないなぁ」というスポーツになってしまうと思う。
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