先日、ある団体主催の環境経営導入セミナーで講師を担当しました。

団体の事務局からは、「せっかく導入しても数年すると活動を止めてしまう企業が多いので、環境経営導入の目的とメリットなど本質論を話して欲しい」という要望を受けました。


そこで、月並みですが、環境経営というと、「紙・ごみ・電気に象徴される節電・節水の過度なケチケチ運動」や「身銭を切って自分達があたかもボランティア的な活動」をするかのような錯覚に陥るがそれは違う。

業務効率を向上させ、環境負荷が低い製品や結果としてユーザーや社会全体の環境負荷が低減できるサービスや情報を提供していくことが「企業が取り組むべき環境負荷低減活動だ」的な話をしました。


もちろん、「ケチケチ運動的」なことも組織が楽しんで取組み、社員ひとりひとりの悪しき習慣を改め躾(しつけ)的なこともこの際、より徹底したい、という目的であれば、どんどんやって欲しいが、いずれにせよ、この手の活動は、「ある程度の削減を達成すること」で頭打ちになる。


「環境経営システム」は、あくまでも「経営システム」のひとつであるから「企業が存続する限り未来永劫、業務上のムリムダをなくし、顧客や社会と調和した環境負荷低減に通じる製品やサービスを提供し、法規制等違反や緊急事態の発生リスクを抑えた継続的にマネジメントシステムの改善に取組むべき内容」で活動を進めることが王道である。

そして、これらの活動を通じて、社員も会社の質向上とともに成長していくことができれば、理想である。


・・・とまぁ、こんなような話をしていると、参加企業の2代目社長は、うんうんとうなずきながら私の話を聞いている。

そして、その隣に座っているその企業の「大番頭」的な技術部門長は苦虫をつぶしたような顔をしている。


案の定、ひと通りの説明を終えると、質問コーナーで、その2代目社長が質問をしてきた。

「環境経営システムを導入するということは結果として企業のイメージアップといった効果だけでなく、企業課題に継続的に取組む体制作りを通じて社員の成長もできると言うことですよね?」と。

もちろん、わたしの回答は「はい」である。

すると、横から「大番頭殿」が

◇こういう活動に取組むということは、プロジェクトチームを作ることになり余計な時間が掛かりますよね?

◇活動を推進していく中でいろんな帳票や資料を作ると思いますが、紙の無駄遣いですよね

◇同業者で「仕事は逆に増えた」という声は聞いても「効率的になった」という話はきいたことがない

と敢えて、この「環境経営セミナー」自体に喧嘩を売るような質問をしてきた。


要は、この構図は「指示命令型のカリスマ経営者」時代の経営から「業務課題を見つけ自律した企業」を目指す2代目経営者への「抵抗勢力」という図柄です。

おそらく、この「大番頭殿」は経営者が勝手に突っ走らないか監視しに来たのでしょう。


実は、後日、この2代目社長から連絡をいただいた。

「わたしは(環境経営システムを)導入したいんだが、抵抗勢力が社内に多く・・・」と。


わたしは、

「会社が成長するためには常に変化し続けることだ」といっても「昔からの社員の本質は変わりたくない」がホンネである。

無理に、それを社長が変えようとすると、会社に血が流れ、傷跡ができます。

しばらくは、辛抱で、社長の考えに同意する次世代リーダーが育てることに注力してください。

そして、時機をうかがって、抵抗勢力が「新しい体制にはついていけない、あるいは、協力するよ」と言い出すまでは、我慢して、その時が来るのを待つしかないですよ。・・・

などと話しました。


どんな組織にも「やりたくない、変えたくない」というためホンネの為に「できない理由を並べたてる」抵抗勢力は必ずいます。

そんなときに、軟着陸できるようにかじ取りするのも経営者の腕の見せ所なのである。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ338号より)


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