コックをしている知人によると「一流のコックにとって何より大切なものは“舌”である」という。

では、その「舌」の能力はどのように身につけるのか?と思い訊ねると、

◇子どもの頃に、高級な外食をすること

◇親が料理雑誌や番組を参考に作ってくれる色々な料理を食べること

なのだと言う。


つまり、幼い頃からのさまざまな味覚を「舌」に経験させることが必要なのだ。

自分の子供を「料理人」にする訳ではなくとも「味覚音痴」にさせないためには、和食、洋食、中華、エスニック・・・など「色々な味」と大衆料理、家庭料理、高級懐石料理など「クラスの異なる味」の経験をさせることが重要なのだ。


余談になるが、コックの知人によると、一般的には「自分を同じ味覚の人は10人いたら34人程度」と思った方が良いのだそうだ。

つまり、どんな腕のいいコックだったとしても、「コックが美味しいと思って作ったものも同じ感覚で賛同してくれる人は34人」なのだ。


よく考えればわかることであるが、確かに、「煎茶」であっても「濃い味が好き」な人もいれば「薄い味が好き」な人もいる。

また「温度が非常に高いお茶が好き」な人がいれば「ぬるいお茶」が好きな人もいる。

つまり、コックが万人に「美味しい」と感じてもらうためには、「相手の体調や嗜好、その場の雰囲気など諸々の状況を考慮した料理を作る愛情と思いやりが必要」なのだ。

そう考えると、優れたコックは「相手の立場を理解する能力」も必要な力量なのである。


ここ20年を振り返ると、全般的に日本経済は緩やかに低経済成長となっている。

そのため、20代、30代の若手サラリーマンの知り合いに聞くと、年齢とともに右肩上がりで給与が上がっていく「定期昇給」という感覚は、ほとんど経験がないらしい。

また、中高生のこどもを持つ私たちバルブ世代も友人に聞くと「給料が上がらないから小遣いもアップしない」と嘆いている。

そのため、外食するとしたら「デカ盛り系」や「低価格バイキング」のお店を利用し、買い物も「100円ショップ」や「ディスカウントショップ」、「ユニクロ」。

旅行に行く際は「格安航空」を利用して、ホテルも「無料朝食バイキング付きのビジネスホテル」という世帯が多くなった。


少し笑い話になるが、友人がちょっと奮発して家族旅行で高級ホテルに泊まったら、小学生の子供がチェックインの時に「今日はお金を払わないの?」とフロントで訊ねてきて恥ずかしかった、といっていた。

つまり、その友人は、常に「前払いのビジネスホテル」を家族旅行で利用していたので、その友人の子供は「ホテルでは常に前払いするもの」という常識になっていたのだ。


このことから、冒頭の「一流のコックに必要なものは舌」、そしてその舌の能力を高めるためには「さまざまな味を幼少期から経験させる」というケースを考察してみる。

すると「子供」に「世の中にはいろんな立場の人やものごとがある」そして「その立場を理解できるようになるためには単価の安いもの、高いもの、高級なもの、大衆向けのもの」がある。

そして、その時の状況や相手のニーズによって、それに見合った「質」がある。

・・・ということを理解させるためには「幼少期からさまざまなものごとを経験させることが重要かつ必要」なのだ。

つまり、普段は「超大衆的日常生活」を過ごしていたとしても、いま流行りの「プチ贅沢」を子供にも経験させておくことが大事だ。


おそらく「ボンボンは庶民と感覚がズレズレ」で「社会的な不適格者が多い」と言われるのは、大金持ちで、経済的に余裕があるために、旅行は「常にファーストクラス」、食事は「高級レストラン」、衣類は「常にオーダーメイド」といった経験のみを子供にさせているせいかもしれない。

そうしていくうちに、他人の価値観を理解できない思慮深くない大人になってしまうのであろう。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ288号より)


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